第107話 メッサーラ経由王都へ

 受験日が近くなった。そろそろメッサーラ経由で王都に向かおうと思う。

 今回は受験だけなのでロキソやフルルは行かない。来るのはティナだけだ。


 王都までは片道で5日かかるし何かのトラブル等を考えて早めに出る事にした。


 メッサーラまでは1日なのでそんなに辛くはないがそこから先が遠いんだよな。

 まぁ今回は受験勉強で時間は潰せるか。


 今回は御者をティナがやってくれる。勉強に集中出来るようにとのこと。

 ティナは本当になんでも出来るなぁ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「エドガー様、まもなくメッサーラに到着します」

「わかった」


 この街はもう何度も来てるよな。門番の人も覚えてくれたのか簡単に通してくれる。


 初回は‥‥‥あれだ。パーシヴァルさんに連行された時だったな。

 次は衛生官のフィルさんに連行されて‥‥‥。


 って、連行されてばっかりじゃん。自分たちだけで来たのは意外と初めてだったか?


 門を抜けて辺境爵邸に向かう。俺もティナも道を覚えてるから迷わずに行ける。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「エドガー様! お待ちしてましたわ!」

「エリーゼ様、問題集ありがとうございました。だいたい九割ほど終わったところです」


 それを聞いたエリーゼ様の表情が固まる。

 ん? どうした?


「さ、さすがエドガー様ですわね。素晴らしいですわ‥‥‥!」

「‥‥‥エリーゼ様はどのくらい終わってらっしゃいますか?」


 更に表情が固まり、目を逸らし始める。

「‥‥‥くらいですわ」

「え? なんて?」


「‥‥‥半分くらいですわ!! だって全然わかんないんですもの!!」

「‥‥‥」

 こいつは予想外だ‥‥‥。俺より遥かに先に始めていたはずなのに‥‥‥。


「だ、大丈夫ですわ! 選択問題とかは得意ですもの‥‥‥」


 イザベラ様が出迎えに出てきた。ゲオルグ様は今王都で政務中らしい。


「エドガーくん、こんにちは。エリーゼのお勉強の件、任せてもいいかしら?」

「‥‥‥わかりました。なんとかいたしましょう」


「行きの馬車で二人っきりで教えて下さいますの!?」

 一瞬嬉しそうな表情になったエリーゼ様。


「ええ‥‥‥教えて差し上げますよ、二人きりでね、フフフ」

 

「!? エドガー様? お顔が怖いですわ!」

 エリーゼ様は顔が青ざめて涙が溢れそうな表情に変わった。


「あらあら、エドガーくん。どうかお手柔らかにねー」

「‥‥‥ええ。お任せください。絶対に合格させてみせますので」

「絶妙に会話が噛み合ってないですわ! 絶対に『お手柔らかに』じゃないですわー!!」

 城内にエリーゼ様の叫びが響き渡った。

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