第99話 風呂上がりは

「エドガーくん! 温泉って最高ね!」

「エドガー様、とっても気持ちよかったです。また入りたいですわ!」

 イザベラ様、エリーゼ様と気に入ってくれたようで良かった。

 まぁぶっちゃけ反対意見が出た事はない。


「お気に召しましたようで何よりです。お風呂上がりのお飲み物をご用意致します。まずは是非そちらにお掛けになってお寛ぎください」

 二人を畳敷きの部屋に座らせる。


「? これは‥‥‥?」

「『畳』という床材です。植物で編んだものを重ねて作ってます。独特の感触と香りがすると思います。どうぞ横になってみてください」

 温泉といえば和風、和風建築に畳は外せないからな。井草っぽい草を見つけてイブに作ってもらった。


 言われるままにゴロンと横になる母娘。

「固いでもなく柔らかいでもない不思議な感触ですわ」

「確かに独特な感じね。私はコレ好きだわ」


「ティナ、飲み物の用意を頼む」

「かしこまりました」


 イザベラ様にはキンキンに冷えたビールを。

 エリーゼ様にはキンキンに冷えた炭酸入り果実水を。


「ッ!!! ビールってこんなに美味しいんですの!?」

「!!!!? 口の中に何かいますわ!? シュワーってしますもの!」


 あつく火照った身体に沁み渡る事でしょう。

 あー、俺もビール飲みたいわ‥‥‥。

 年齢的に飲めないのでエリーゼ様とお揃いの炭酸果実水だけどな。


 にしてもエリーゼ様のリアクションかわいいな。炭酸飲料なんてないもんな。ちなみにソーダ◯トリーム的な魔道具で作った。


「エリーゼ様、それは炭酸ガスという物が溶けておりまして‥‥‥」

「‥‥‥シュワーが消えましたわ」

「ふふふ、かわいいわね」


 イザベラ様は冷たいビールとかわいい娘のリアクションにご満悦だ。俺も自然と頬が緩む。


「もう、二人して子供扱いして!! ヒドイですわ!」

 ぷーっとエリーゼ様が膨れてしまった。


「お代わりいかがですか? エリーゼ様」

「‥‥‥いただきますわ」


「こちらもお願い、エドガーくん」

「あ、もうすぐ夕飯ですのでビールはご遠慮ください」


「そんな‥‥‥ヒドイわ。もう‥‥‥」

 ぷーっとイザベラ様も膨れた。

 リアクションが娘と同じじゃないか。

 そっくり母娘か!

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