第98話 温泉体験②
「「ふぃー‥‥‥」」
一連の騒ぎの後、俺とゲオルグ様は湯船に浸かっている。
「‥‥‥エドガーよ。この気持ち良さ、言葉に出来んぞ」
「ええ、そうでしょう。これが温泉です」
「いや、誠に素晴らしい。まるで身体が湯に溶けていくようだ、このような経験は記憶にないぞ」
「作って良かったでしょう?」
「是非メッサーラにも作りたいものだ。出来るか?」
「メッサーラでも温泉が沸くかどうかはわかりません。ですがこのように浴場を作るのは可能かと」
「なに? 本当か?」
「ええ、風呂だけであれば湯を沸かして浸かれば良いだけですので。水を引いて沸かせば良いのです」
最初から熱い温泉に比べると沸かす労力と燃料なり魔石なりが必要にはなるけど。
「うむ、それは是非検討しよう」
「難しい話は終わったかの? ゲオルグ様よ、更なる天国に連れてってやるぞい」
ロキソが近づいてきた。その手に持っているのはやはり‥‥‥。
「ロキソ殿、更なる天国とな?」
「これじゃ! ほれ」
おちょこをゲオルグ様に渡し、徳利から酒を注ぐ。中身は多分オリザ酒だろう。
まったくいつの間にそんなものを作ったんだ。温泉酒なんか教えてないぞ、自分達で思いついたのか‥‥‥。
「‥‥‥美味い! これは正に更なる天国に相違ないの!!」
酒好きのゲオルグ様ならそうだろうな。
「ゲオルグ様、湯船に浸かりながらの飲酒は身体によろしくないですよ」
「エドガー、固いこと言うな。少しだけではないか」
「ほれほれ、もう一献‥‥‥」
絶対少しじゃないだろ‥‥‥。
ロキソはそれ以上勧めるんじゃないよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
予想通りゲオルグ様は長湯してしまい、少しのぼせてしまったようだ。
「あぁ、ここで少々休んでいく。オレの事は気にするな」
「ああ、ワシらに任せておけ」
ドワーフは湯当たりとかはしないらしい。
ゲオルグ様には風の魔石を使った扇風機もどきで風を当てる。
「あぁ、これはこれで心地よいの‥‥‥。妻と娘も出ただろうからそっちを頼む」
「わかりました。ロキソ、頼むぞ」
これから夕飯なんだからここでこれ以上飲ますなよ‥‥‥。
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