第93話 温泉施設を作るぞ
翌日の早朝。俺とティナは馬車に乗り込みテオドールへと向かった。
温泉が湧いたことにより産業も増える。観光業なんてあるのはこの国では王都くらいのものだからな。
帰りの馬車で理想の温泉宿の設計を考える。紙を広げああでもないこうでもないと検討を重ねる。
馬車がボロくてガタガタ揺れるから描きづらいが仕方がない。時間を無駄には出来ない。テオドールに着くまでに少しでも計画を作っておきたい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まもなくテオドールに着きます、エドガー様」
「わかった」
いろいろ描いて散らかった馬車内を片付ける。
ポイントに着いたらフルルに狙撃されないようにちゃんと顔を出して声も出す。おかげで狙撃されずに済んだ。
テオドール村の入り口に着いた。
「エドガー様、おかえりなさいませ!」
たくさんの人に迎えられた。
いやいや、わしゃ外タレか!
俺なんか迎えに来るくらいなら各々仕事せいよ。
テオ村長まで迎えに来てくれた。
「エドガー様、報告はお読みいただけましたか?」
「読みましたよ。温泉が出たって?」
「そうなんです。バス!! 報告しろ」
バスが困った表情で抱きついてきた。
「エドガー様! 助けてください! もうどうしたらいいのか‥‥‥?」
「あぁ、わかったから。離してくれるか?」
しがみついた状態では会話もままならない。
「馬車の帰りに設計図を描いてみたんだ。雑な図だけどなんとなくはわかるだろ?」
馬車で描きまくったプランをみんなに見せる。
「!? なんですか、これは!?」
無理もない、風呂の文化すらないこの世界では『スーパー銭湯』なんて言葉すら存在しないからな。
そう、俺の作った設計図はスーパー銭湯をモデルにした施設だ。入浴、休憩、食事が出来る施設。宿泊は隣に宿屋でも作れば良かろう。
将来的には温泉ホテルにしたいところだがな。
施設の説明をして作ってもらう。施設内の水だけが問題になった、というのもここで井戸を掘っていて温泉が沸いたとの事なのでここで再度井戸を掘っても温泉しか出ないだろう。
温泉脈でなく水脈を当てるのは至難の業なので、水道を作ることにした。いずれは村内全てでやろうとしていた事ではある。
一番近い井戸から水をポンプで汲み上げて建物のてっぺんに水のタンクに貯めておく。使う時は蛇口をひねれば出るように。
建物は大きいけど数日で出来上がる。それに間に合うようにポンプの動力を魔法陣で作った。
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