第91話 帰ります
その後もいろいろと聞かれたが、陛下の予定が押してしまったので終了となった。
「また呼ぶからの! 面白い話を期待しておるぞ」
「はい、これにて失礼致します」
ようやく解放された。ティナの方は大丈夫かな?
宮殿の入り口まで戻るとパーシヴァルさんが馬車の所で待ってくれていた。
「お待たせしてすみませんでした」
「随分と盛り上がっていた様ですね」
普通はこんなに長く陛下と話すことはないらしい。それはそうだろうな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ティナと合流した。
「エドガー様!! ご無事で何よりです!」
いや、そりゃ無事だろ。
行ったのは王宮だぞ?
「それでティナ、実家の情報は掴めたか?」
「‥‥‥はい。では帰りながらお話し致します」
馬車の中は俺とティナ。
「予想以上に状況はよくありません。ストライク家はどうやら麻薬の密売に加担しているようです」
はぁぁぁぁ‥‥‥とため息を吐く。そんな事だろうと思った。アドルフの話ぶりからして何らかの犯罪行為をしているだろうと。
「詳しく」
「はい、王都にいた時に使っていた情報屋に聞きました。数ヶ月前から羽振りが良くなったのは王都の住民も知っているみたいです。アドルフさんの言っていた人物が正に麻薬の仕入れ人だそうです」
そんなとこまでわかるのかよ。
すごいな、その情報屋。
さて、どうしたらいいものか?
ここまで聞いて知らんぷりをする訳にはいくまい。ただあの家を追放された俺が直々に調べるというのもな。
そもそも追い出されたから入れないし。
「‥‥‥辺境爵様に相談するか」
「そのくらいが丁度良さそうですね」
どうせこの立派な馬車を返してテオドール村のショボい馬車に乗り換えなきゃいけないのだからその時に伝えよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
王宮 エドガーが去った後。
「どうじゃった? あの天才は?」
「はい、噂に違わぬ傑物かと」
「嘘は吐かなかったようじゃの?」
「ええ‥‥‥、嘘をついたかは解りますから。誓って真実の話を述べただけのようです」
王と王女の会話である。
王女には嘘を見破る力があった。だがそのことを知る人は少ない。
(あの驚異的だったマスケットを上回る銃が作れそうじゃな。あの弾薬とやらの開発製造を急がせねば。あれが揃えば世界を牛耳る事も可能じゃな)
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