第90話 ライフルの説明
「ふむ、余にも理解できた。そのライフリングとやらが重要なんじゃな?」
陛下も興味を持ったのか食いついてきた。
「いや、まだあるだろう。説明を続けてくれるか?」
「はい。マスケットは弾を銃口、つまり前から入れます。このライフルは前からは入れられません。こちらに入れます」
ライフルの下部から箱型弾倉を取り外す。
「ここに先程の弾薬を入れていきます。五発入ります」
箱型弾倉に弾薬を詰めていく。そして弾倉をセットし直す。
「そしてこのボルトを操作します。ゆっくりやってみますね。まずボルトハンドルを持ち上げて後ろに引きます」
「ふむ‥‥‥」
ガチャっと動かす。
「そして元の位置に戻すと弾薬が滑る様に動いて薬室の位置に収まります。あとは引き金を引いたら発射出来ます」
「ふむふむ‥‥‥それを撃った後はどうするのか? その薬莢とやらが残ってしまうではないか」
「先程と同じです。ボルトハンドルを持ち上げて引くと‥‥‥」
ピィン!!
「と、この様に薬室から先程の弾丸の薬莢が取り出されて排出されます。そしてボルトを戻すと再び弾丸が装填されます」
「つまりその状態で引き金を引くと‥‥‥」
「次弾が発射されます」
「!! なんとそれだけの事で二発目が撃てるのか!?」
驚くのも無理はない。マスケット銃の装填は火縄銃と変わらない。
銃口の先から火薬(発射剤)を入れて球形の弾を入れて棒で押し込む。銃の中で弾薬を作る様なものだ。
弾頭、薬莢、発射剤、雷管がオールインワンパッケージになっている弾薬は前世で言えば何百年も先の技術だからな。
先込め式ではどうしても次の弾を撃つために最短でも数十秒は必要になる。
ボルトアクション式なら慣れれば一秒で次の弾が撃てる。この差は大きすぎる。
「この金属の筒で一つとなっているこの弾薬とやらが素晴らしい!! なんと素晴らしい発明か!! ‥‥‥急いで今のマスケットの生産を中止してきます!! 失礼!」
レオン様はライフルを置いてすごい勢いで行ってしまった。
「あ、説明がまだあったのに‥‥‥」
その辺の違いだけしか説明出来てない。安全機構とか発射機序とかまだあるのに‥‥‥。
「くくく、あやつも相変わらずじゃの‥‥‥。さてとエドガーよ。この技術、王国のものにして構わんな?」
「もちろんでございます。一度献上したものを引っ込めるわけにもいきませんので‥‥‥」
「ハハハ!! お主本当に12歳か? いや、普通の12歳ではなかったのであったな、失敬。それでこの新型銃の名前は如何する?」
「え? 名前?」
「そうじゃの。この新型銃はお主の名から取ってエドガーライフルとするが良い」
こうして俺の名前の付いたライフルが誕生してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます