第88話 別部屋にて

「‥‥‥ぷっ! ふはははっ!!」

「えっ?」

 突然噴き出して笑い出す陛下。

 は? どういう事?


「いやぁ、すまぬ。少し戯れたくなっての。そのように落ち込まんでも良い、其方の言は真実であるようだからの」

「!? すみません、どういう事でしょうか?」

 泣きそうになってたが涙が引っ込んだ。


「若い子を揶揄うなんてホントに悪趣味ですわね、お父様?」


 別方向から女性の声がした。振り返って見ると俺と同じくらいの年齢と思しき女の子が。

 陛下を『お父様』と呼ぶのなら王女様か?



「ははは、紹介しよう。我が娘『マリア』だ」

「マリア・シルフォース・マルディアと申します」

 やはり王女様だった。マリア様は立ち振る舞いが完璧なご挨拶だ。


「お初にお目にかかります。エドガー・テオドールと申します。以後お見知り置きを」

 臣下の礼をとる。


「エドガーは12歳だったな? マリアも同い年だの」

 年齢が同じなのにこの立ち振る舞いとオーラがすごいな。そしてもちろん美しい。

 そして左右の目の色が違う、オッドアイというやつだ。


 辺境爵様のとこのエリーゼ様といい、位の高い女性は皆美人なのか?


「エドガー様はいろいろな物を発明なさったと伺っておりますわ。ワタシ大変興味がありますの、一つずつ教えてくださらない?」

「はっ、かしこまりました」


「あとその口調はおやめくださいませ」

「あ、いや、しかし‥‥‥」


「エドガーよ。マリアに逆らうと後が怖いぞ。だから楽に話してやってくれ」

「お父様!!」


「おお、怖いこわい‥‥‥。な?」

 なんか陛下の場合は自業自得の様な気もするけど。


「では、そのように‥‥‥」

 テオドール村で作ったもの(正確には作ってくれと頼んだもの)を一つずつペラペラと説明していった。


 俺の作ったもの‥‥‥拳銃とライフル、オリザの栽培、オリザ酒、各種蒸留酒、農耕器械、大豆加工品‥‥‥は結果をまだ見てないか。

 あとは道路整備と浄化マスクとポーション吸入法、揚げポタートにコロッケ、ケチャップとマヨか。


 うーん、我ながらいろいろやってるな‥‥‥。


 あれ? 陛下と王女様が若干引いてる?

「エドガー、お主という奴は‥‥‥」

「‥‥‥先程の話もこの話も本当なのですけど。普通ならば一つだけで勲章ものですわよ」


 いやいや、さすがに揚げポタートとコロッケで勲章って事はないでしょ。

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