第33話 勝利の宴

 一応は一旦解散としたのだがそのまま戦勝祝いの宴に移行してしまった。

 まぁそうなっても良いように前半戦が終わった昼の時点で夜の分も作り始めるように指示しておいたから料理はみんなに行き渡る。

 それぞれの家庭で作っていた酒類とかもあらかじめここの倉庫に避難させておいたため無事だった。

 

「宴の準備まで完璧に指示してあるとは‥‥‥我々は何もしてないのだが、混じって良いものか?」

 パーシヴァル卿はこういうところも真面目だな。


「我々ではモンスターの追撃までは出来ませんでした。撤退させるところまでが精一杯でしたので助かりました。支援物資もありがとうございます」


「ははは!! 我々にも華を持たせてくれるとはエドガーは本当に出来すぎだ。本当に12歳か?」

「パーシヴァル様、申し訳ありませんが今回の戦いで活躍した者を同席させてもよろしいでしょうか?」


「もちろんだとも。此度の戦いの英雄達を是非紹介してくれ」


 懸念事項が一つある。

「パーシヴァル様、私の身内にノナン族がおります。それも構いませんか?」


「ノナン族か。‥‥‥構わぬ、其方の身内なのだろう? 断る理由はない」

 少し間が空いたが許可は取った。


 まずはフルル。

「討伐数ダントツの狙撃手、エルフのフルルです。あのオーガをも一発で葬りました」

「フルルです」


「おお!! お見事でありました。是非隣へどうぞ」

「失礼致します」



「ドワーフの三名、ロキソ、イブ、ザルトです。ロキソは全ての銃を、ザルトはあの城壁を作りました。イブは二人のサポートをしてくれました!」


「ロキソと申す。お見知り置きを‥‥‥」

「イブです。こちらがザルト、あまり話したがらないのですみません」

「‥‥‥うん」


 目を輝かせる騎士爵様。

「おっ! ドワーフの方か! 私も酒を嗜むほうなので是非ともご一緒に!」


「エドガーよ、この騎士様は良い人だの」

 ロキソは酒が飲めるか飲めないかで判断してるらしい。ドワーフジャッジ。


「最後が私のサポートをしてくれたノナン族のティナです」

「ティナと申します。この度は同席の許可をいただきありがとうございます」


「ティナ殿。王都ではノナン人は蔑みの対象だと聞くがここ辺境爵領においてはそう言った事はない。安心なされよ」

 ほっとした。本当にこの騎士様は良い人だ。


「ありがとうございます、パーシヴァル様。では乾杯といきましょう。無事に戦いを終えた事に!!」

「エドガー様のご活躍に!」

「勝利に!!」


「「「カンパーイ!!!!」」」

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