第26話 最終確認

 ザルトの様子を見に来た。


「ザルト、ありがとう。この辺の城壁はほとんど出来てきたな。すごいな、建築魔法って」

「うんうん!」

 相変わらず喋らないな。


「ここの城門の所を一工夫してもらいたいんだが、間に合うかな? ここの門一ヶ所だけでいいんで」

「うーん‥‥‥。!! うんうん!」

 (考えてみて)ここだけならいけるよって反応かな?


「あとここにフルル専用の見張り台を。城壁より高くしてくれ」

「う!? う、うーん? うんうん?」

 (え? ここに? まぁ出来るかな?)って感じか?


「この戦いが終わったら本格的に火酒作りだから頑張ってよ!」

「!! うんうん!! うーん!」

(マジか! わかった、頑張るよ!!)って感じだな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「フルルいるか?」

「エドガー様!」


 フルルは村長宅で休んでいた。

 フルルには当日重要な任務を任せる。と言ってももちろん狙撃なんだけど。


 当日の計画について話す。

「今回の戦いはお前抜きでは絶対に勝てない。お前専用の見張り台も作るから頑張ってくれよ」


「わかってます。でも奴らの姿を見て動揺しないでいられるかは‥‥‥わかりません」

 沈んだ顔を見せたフルルの頭を撫でる。


 フルルの里は奴らに襲われた。そのトラウマがフラッシュバックする可能性は十分に考えられる。


「そうだよな。その時は気にしないで言ってくれ。作戦を変更する。でも直接仲間達の仇を取れるチャンスだとも思うけどな」

「‥‥‥! 確かに。その発想はありませんでした」


 俺は懐から袋を取り出してポーションを見せて渡した。

「俺特製のポーションだ、これを渡しておく。もし奴らの姿を見て気分が乱れるようなら飲め。気分が落ち着くはずだ」


「‥‥‥わかりました。薬ありがとうございます」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 村の女性陣にも集まってもらった。


「皆さん、お疲れ様です。当日避難してきたら皆さんにやっていただきたい事があります」

「あたし達に何が出来ると思うの?」



「ご覧の通り城壁が出来上がりつつあります。モンスターと言えど簡単には入って来られません。でも追い払う為には男衆が銃を持って戦います。申し訳ないがお子さん達には弾丸を運んでもらいます。さあ、あなた達は? ここで休んでいるだけ?」


「あたし達だって戦えるものなら戦うよ!」

「何か出来ることがあればねぇ」


「ありますよ! それは『食事の用意』です。いつもの事です。ここに来たら料理を作ってください。材料はいろいろ揃えておきます。戦ってる男達の為に、手伝ってくれる子供達の為に、普段の様に料理を作ってください」


「確かにそれなら出来るねぇ」

「ていうかほんとに普段通りだね」


 腹が減っては戦は出来ぬ。継戦にとって食事は大変重要だ。


「当日はよろしくお願いします!」


「あいよ、任せときな!」

「ここは女の戦場になるんだねぇ」

「みんなで張り切って戦うよ!」


「「「おーー!!!!」」」

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