第14話 ハイポーションの価格
「俺たちのせいでアネゴとアニキにご迷惑をお掛けしました。申し訳ねぇ」
「手打ちに出来て良かったです。ありがとうございます、アニキ」
「しかしハイポーションを金貨10枚に値切るために勝負を仕掛けるとはね。アニキやりますね」
マール、バッツ、トライにアニキと呼ばれるようになってしまった。
「いや、もともとハイポーションは金貨10枚くらいのものだからな?」
「「「「‥‥‥‥‥‥え?」」」」
やはり知らなかったようだな。まぁ一般的に出回っていない薬の値段なんて知らないだろうから仕方ないけどな。
「クッソ!!」
「‥‥‥アイツら、10倍の値段でふっかけて来やがったのかよ!!」
まぁ詐欺やぼったくりは反社の資金源だろうし。どこの世界でも変わりないんだなぁ。
本当に奴らも金貨100枚払って買ったのかもしれないけど。
ハイポーションを本当に使ったのかはわかんないけど(そもそも大怪我も)アイツらは損はしてないからな。
買ってもないなら10枚得しているし。
「まぁ、もしもの時のためにまた準備しておかなきゃな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日、ロキソ達の元を訪れると建物が立派になっていた。
「おう、坊。ザルトの建築魔法で建てたんじゃ。いつまでも野良鍛冶じゃ効率が悪くての。そして今日はどうした?」
「いつもの弾丸の補充と、ティナの銃の調整だ。あとまた作ってもらいたいものがあってな」
今度頼むのは耕作用の機械だ。無人で畑を耕してくれる。図面はまたドローに描いてもらった。
「こいつはまた随分と面倒そうな‥‥‥」
言うと思った。だが‥‥‥。
「コレが上手く出来て農地が拡がれば火酒が飲める日が近づくんだけどな‥‥‥」
「それを先に言わんかい! 早速取り掛かるぞい」
ドワーフのやる気を出すにはやはり酒だ。約束を違えたら大変な事になるだろうけどな。
今の作物の収穫量だと蒸留酒の分まではとても回せないからな。まずは充分な備蓄食料を備えねばならない。
あとはあの作物とかあの金属とかが手に入ると良いのだけどな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
後日、再びロキソ達を訪れる。
「出来たぞい、コレでどうじゃ?」
「おお! すごいな」
作ってもらったのはトラクターの後ろの耕す部分だけを魔力で動かす魔道具だ。
形としてはパ◯ジャン○ラムみたいな感じ。
魔力、魔道具の部分の魔法陣の設定、計算は俺がやった。
魔道具の良い所は魔力が有れば誰でも動かせるところだ。
俺は実は魔力自体は人並み以上にある。スキルがないから魔法として発動出来ないだけで。
七歳くらいで前世の記憶が目覚めてからは魔力を増やす事を目標にしていたから多いのだ。
スキルが無かったから使い途がなくて今までは無駄になっていたけどな。
早速村長の裏庭を耕す事にした。もちろん事前に許可は取ってある。
作成者のロキソもついて来た。気になるのだろう。
「よし、動かしてみるぞ」
使う魔力の量で進む距離が決まり、魔力の受けた向きと反対に進む。
ピィーーー!! ガガガガ‥‥‥!!!
トラクターの回転してる部分だけが自動で動いている。なかなか見た目はシュールだ。
だが畑起こしは数秒で終わった。そして自動で止まる。
「いいね! 完璧だよ」
「どんなもんじゃ! これで火酒が飲めるようになるかの?」
「まぁ数歩は前進したかな。また他のものも頼むね」
「任せとけ!! 火酒の為じゃ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます