1ページ目、裏面

・首吊り縄

優しいので、『彼』の背中を押してあげた。 また誰かの役に立ちたいので、次に使ってくれる人を心待ちにしている。 ゆらゆら、ゆらゆらと揺れながら。


Q.『彼』って誰? この学校で死んだ人?

A.うん

Q.あの首吊り縄があった場所で『彼』は自殺したの?

A.うん

Q. 天井に縄を掛けるところなんてないのに、どうやって『彼』は首を吊ったの?

A.さあ?


・蛇の目傘

柄がないから掴めない。

ただ単に、溢してしまったねって話。

悪意はあったかもしれないし、なかったかもしれない。 どっちにしろもう助からないので”ご愁傷さま”


道路に転がった井戸桶からは、獣の匂いがしたらしい。


・中庭の実

ひとつ吊るせば晴れ祈願。

ふたつ吊るせば雨祈願。

なら、■■■吊るせば××を祈願出来るだろう。

未だ叶ったことはないが、中庭の実の首が落とされたことはない。 叶ってほしいけれど、叶えてはいけないから。切れない。切らない。


・ベランダの下

蛍光灯ではない。

どこかのなにか。命はある。けれど生物ではない。

動けないけれど移動している。

仲間が欲しい。


・窓の外のやつ

ただの愉快犯。ピンポンダッシュと同類。 ちなみにこの日記を書いている人の自室は二階にある。


・存在しない美術室

見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろ見ろみ


みて


・白い短冊

扌を想い慕う。または、罹患者。

『耆波の家には攣(テナへ)臂多く来たる』

引用:東大寺諷誦文平安初期点八百三十頃より


・クローゼットの卵

『ハンプティ・ダンプティ 塀に座った

ハンプティ・ダンプティ転がり落ちた

王様のお宝 みんな集めても

王様の家来 みんな集めても

ハンプティをもとにはもどせない』


帰った⇒× 還った⇒△ 孵った→◎


・バタークッキー(哲学)

広義の意味ではバタークッキー。たぶんそう。

卵も 砂糖 もバターも使ってないけど、見た目も味も普通のバタークッキー。

材料名: ひろかわしょうこ うちのあいか すずはらみちる

材料・・・まだいきてる。たべるまでは。


・運動場の人骨

ついぞ人魚に成ることは出来なかった。

肺の中の蝋燭は、強欲という罪の報い。

半分だけでも地面の上に戻してあげられたことは、彼女にとっての救いだったかもしれない。


・『学校の七不思議』の本

この学校には一定数、詳細を知ればそれだけでアウトなやつがいる。 それらを詰め合わせて七不思議にしたのがこの本。

作者も出版社も出版日も不明。誰も持ってきてないし学級文庫になんて置いてない。 内容?読んだ人が軒並み 【■■■】になっちゃったからね、わかんないね。


・ビニールハウス

たぶん校内で1、2を争うくらいには安全な場所。がっちがちに対策してある。 そこまでしなければこの学校の土壌でまともな植物なんて育てられない。

当校のビニールハウスは特別製です(^^)

ちなみにビニールハウスにほんのちょっと近づいただけで じゅっ (蒸発)でされた 【猫の目(複数個 )と魚 の臓器(えら以外)と鳥の羽毛 (雛鳥)でできた兎もどき】は、柴犬の声で鳴く。そうだね、ごちゃまぜだね。 曰く、「あらゆる生物をミキサーに突っ込んでぐちゃぐちゃにした挙げ句無理やりひとつの生命体にしたみたいなもの」

このキメラ合成失敗シリーズはまだまだたくさんあるらしく、形態を変えてたびたび校内に出現す る。


・あやし先生

影がない。この次元に存在する不可実 な虚像。そのため鏡にも水面にも映らない。 誰も彼の顔や声 本名を覚えることが出来ず、名前は愛称(デタラメ)である。元は生きた、普通の人間こどもだった。今は半分以上が幻想に成り果てた。 理事長に拾われ旧校舎の管理と事務の仕事をやっている。

読書倶楽部の顧問の件は”少し昔”に生徒に頼まれて。(ちなみに、読書倶楽部には変人しか 在籍しないとされる数十年もののジンクスがある。) 実年齢は不明。外見は20代前半。


妖精が苦手。


・虫

まるで誰かがはたき落としたかのように飛べない虫たち。羽はあるのに。

ちなみに部屋の窓は一週間以上開けられていない。 どうして虫がいるんだろうね。不思議だね。

ちなみに毎日、夜になると蜻蛉に似た1匹の大きな虫が部屋の窓に向かって追突してくるらしい。何回も。何回も。


・6つの人体模型

身代わり人形。実は入れ替わりが激しい。

理科室の右奥の棚上では、顔面をスプーンで換って表面にブラックホールをり付けたような 少年が人体模型の欠けた部位でお手玉をしたりしゃぶったりしている。

別に遊べるのなら人間(ホンモノ)でも人形(ニセモノ)でもいいという、ある意味扱いやすい子 供。


ラブレター (怪異版)

『隣の席の海里くん、モテモテだ(怪異に)』

まったく嬉しくないであろうモテ方をしながらも15年間生き残った豪運の持ち主。それが隣席の男子、佐城海里くん。転校初期、いろいろ親切にしてくれたお礼にたまに厄介な怪異を追い払ってあげている。なお、霊長類ヒト科ヒト属の10代の女性にも結構おモテになる。人間も怪異とも結局は外見がいい方に靡く、というのは一種の真理なのかもしれない。 ラブレター (怪異版) (呪い入り)は、理科室の” 午後27時に嘘を喋るガスバーナー”で念入りに燃やしておいたので、たぶん差出人は今頃火だるまになっているかもしれない。


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