第14話 学校
同年代の子供達が一同に会し、勉学に武道に、そして友情に精を出す所、そこが学校のようです。
今朝も三々五々に子供たちが登校しています。
パトラは父親に手を引かれ楽しそうにおしゃべりをしながら登校してきます。
「パトラちゃん、おはよぉ~!」
「おはよぉ~!」
クラスメイトの女の子たちに挨拶され、笑顔で手を振り応えるパトラ。
あらら、レイさんの顔が緩みっぱなしですよぉ~、大丈夫でしょうか?
さて、パトラたちが正門前に来ると、教員が子供たちの登校を満面の笑顔で迎えている。
「じゃぁ、パトラ、今日も頑張ってくるんだよ。」
「はい、お父さん。」
元気に手を振り校舎の方へ走っていくパトラと、それを笑顔で見送り、正門の教員へ頭を下げるレイ。
◇ ◇ ◇
武術の授業にて…
「はあっ!」
「せいっ!」
武術指導役の教師とまともに張り合っている女子生徒…パトラ。
居並ぶ女子生徒は勿論、男子生徒の視線は釘付け状態だ。
…あぁ、女子生徒の何人かはお目々がハートマークになってますねぇ。
「はあっ!」
「せいっ!」
接近してブツカリ合う木刀の音と、気合のブツカリ合いで発せられる声。
一頻り乱戦が済むと、お互いの間合いから外れたところで双方礼をすると、拍手が巻き起こる。
「パトラさん、綺麗な太刀筋ですね。
どこかで師事を受けたのですか?」
若干息が上がり気味の教師
「はい、お父さんに…。」
と言いかけて、慌てて口を両手で抑えてしまうパトラ。
その足下には木刀が転がる。
「良いお父さんに恵まれましたね。」
教師は満面の笑みで答えた。
「よぉ~~し、次ぃ!」
教師が次の対戦相手の男子生徒を指名する…と、男子生徒は固まっている。
「ぼ…僕、あんな事…出来ないっ!」
パトラ…やってしまいました。
◇ ◇ ◇
魔法の授業にて…
「う~…ん?…んん??」
初級魔法書を前に、右へ左へ
「せんせぇ~、パトラちゃんが困ってますぅ~。」
パトラの姿を見かねた隣の生徒が手を挙げる。
「どうしました?パトラさん。」
魔法指導役の教師がパトラのところにやって来る。
さて、他の机を眺めてみると、ほとんどの生徒が多かれ少なかれ魔法を行使できている。
教師が来ても、眼中に無いのかパトラは首を捻ったままである。
「う~…ん?…んん??」
「どうしましたか、パトラさん。」
教師がパトラの目線に屈み込むと、パトラはようやく口を開く。
「魔法って、こんなに難しいものなのですか?」
パトラはマジマジと教師の顔を見てくる。
武術で見せた逸材も、こと魔法に関しては不得手なのでしょうか?
教師はニコニコしながら、魔法の説明を始める。
パトラはニコニコして教師の話に耳を傾け…ているフリをする。
『お母さん!』
『どうしたのパトラ?』
念話で母親を呼び出すパトラちゃん。
『魔法って、呪文の詠唱が必要なの?』
『…しまった、無詠唱しか教えてなかったわ。』
母親の反応に、心のなかで残念そうな顔になるパトラ。
彼女の顔の前では、今まさに教師が初歩的な魔法の詠唱を始めています。
◇ ◇ ◇
放課後…
ここは校舎裏で、パトラちゃんは上級生の男子生徒に囲まれている。
「お前、剣の腕が立つそうじゃないか。」
「弟を可愛がってくれたそうだなぁ。」
罵声を澄まし顔で聞いているパトラ。
そんなパトラを校舎の影から心配そうに見つめる女子生徒と引率の女性教師。
ガラの悪そうな上級生相手では、女性の手には余ってしまう。
上級生の男子生徒はニヤニヤしながら話を続ける。
「お前がオレたちの相手をしてくれてもいいんだぜ。」
下卑た笑い声を漏らす男子生徒の一団。
パトラはゆっくりと右掌を彼らの前に差し出す。
「ほぉ~う、物分りのいい小娘だ…。」
「
男子生徒が話し終わる前に、パトラは静かに魔法を宣言する。
パトラの右掌上に光の玉が出現したかと思うと、そのまま閃光を放ち始めます。
「「「うわぁ~!!!」」」
男子生徒たちは両手で顔を覆ってしまう。
「「「きゃぁ~~~!!」」」
校舎の影にいる女子生徒と女性教師も目を抑えてしまう。
閃光は一瞬でしたが、騒動を起こすには十分な光量でした。
光に気付いた男性教師たちが校舎裏に向かってくる途中で女子生徒たちを見つける。
「何があったのだ?」
「パトラちゃんが…パトラちゃんが…。」
男性教師の問いに気が動転している女子生徒たちは、パトラの名前を答えるばかり。
彼女たちの先を見れば、男子生徒たちが顔を手で覆い、ノタウチ回っています。
「お前たちどうしたんだ?」
男性教師の声を聞いて震え上がる男子生徒たち。
ようやく落ち着いた女性教師が男性教師に事情を説明します…が
「ところで、パトラちゃんは何処に居るんだい?」
「!!!」
慌ててパトラを探す女性教師…だったのですが、誰もパトラを見つけられません。
勿論、パトラは女子生徒を始めすべての人のごく身近に居ます…隠蔽魔法で身を隠したまま。
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