第12話 パトラの一日 ~午後~
私が
料理のお手伝いは勿論、掃除、洗濯とお母さんのお手伝いもだいぶん出来るようになりました。
そして、私は来年から『学校』という所へ通う事となりました。
「ねぇ~、お父さん。
学校てどういうトコロなの?」
「あ~~…学校かぁ~…学校ってところはなぁ…。」
お父さんに学校のことを聞くと、決まってハグラカサれます。
「お母さぁ~ん、学校てどういうトコロなの?」
そういう時は、甘えるようにお母さんの胸元へ顔を擦り付けながら質問をします。
「学校という所はね…。」
と、お母さんは学校の事をいろいろと教えてくれます。
私が気になっているのは、同い年の子たちと勉強するということです。
必然、遊び相手はパパとママ…なんですけど…ね。
「そろそろ、お勉強の時間よパトラ。」
お母さんが昼食の後片付けをしながら声をかけてきます。
「お、パトラ!
頑張れよっ!」
サムアップをしながら、お父さんは
食器を洗い終わり、お母さんの書斎へ。
昔は礼儀作法を覚えたり、テーブルマナーの手解きを受けたりと、どこかのお嬢様のような事が多かったのですが…。
最近は、治癒に浄化、祝別といった
「これは、貴女が元々その身に宿していたものよ。
でも、無闇に使ってはダメよ。」
これは『聖女』の魔法を勉強する際の、お母さんの口癖…言っている意味はわからないけれど、お母さんとの約束は守りたいと思います。
「今日は、大切な呪文を三つ教えます。
ちゃんと覚えるのよ。」
そして教えられた三つの魔法。
読唇術…人の唇から会話を読み解く魔法、魔法というより術かしら。
念話…言語を介さず、直接頭に語りかける術、聞いてみると、パパもママも当たり前のように使っているようで、距離とか関係なくお話しができるそうです。
隠蔽魔法…物事を隠す魔法、物理的なモノからスキルなどの精神的なモノまで、本人の意識次第で色々なものを『隠蔽』出来ます。
「私は
ママはニコニコしながら隠蔽魔法を教えてくれます。
◇ ◇ ◇
「パトラ!
脇が甘いっ!」
「はいっ!」
木の打ち付けあう音が響き渡るレオナルド家の庭。
夕日も傾きかけ、木が長い影を落とす中、剣を交える娘と隻腕の男。
今まさにパトラの木刀がレイに振り下ろされ、寸でのところでレイは木刀を受け流す。
その後も木の打ち付けあう音が響き続け、やがて陽は地平線の向こうに沈んだ。
「今日はここまでっ!」
「ありがとうございました。」
剣術修行が終わり、お互いに汗を拭きながら挨拶を済ませる親子。
護身術程度の剣術が、そこそこのレベルに到達していることに舌を巻くレイ。
「まぁまぁ、剣術もレイのお墨付きが出るなんて、文武両道のパトラは優秀なお嬢様ね。
将来が楽しみだわ。」
夕食の準備をしながら、嬉しそうな顔のアビーと、隣には真っ赤になって鍋を回しているパトラ。
さて、夕食の準備は整ったようです。
食器を並べ、お料理がテーブルに載せられ、三人が席に着く。
「「「いただきます!」」」
三人の夕食が始まる。
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