第17話 転生者は教会に訪れる
なんでこうなった……。
あの後結局フェイに諭されれて神父の話を聞いているのだが……マジでひどい。
「はっはっは。いやー大したお嬢さんだ。初めて会って、私の扉を一つ開けさせられました」
相変わらずキモいことを言っている変態。なんでこんな奴が神父なの?
「なんであんなことやっていたんですか?」
「いいですか? 人生というのは有限です。迷っているうち、後悔していても時は止まってくれません」
「あっはい」
私が聞いたら無視されて、なんかそれっぽいこと言い出した。話が通じない系だ。
「なので、やらない後悔よりもやって失敗した後悔をとりましょう。神はそうおっしゃっています」
「だからって、子供に怖い話をして泣かせるのは違うと思います」
「だって反応を見たいじゃないですか? 反応を。気になっちゃったんだからしょうがない。きっと神も許してくれるでしょう」
「あんたは聖職者向いてないと思うから、やめたほうがいいよ? ってか今すぐやめろ」
神様もびっくりのご都合主義解釈だ。
私はもう一度殴ってやろうと腕を振り上げるけどフェイに止められてしまう。
「ちょっとサクラちゃん! 神父さんにそんなことしちゃダメです!」
フェイもそっち側なの⁉︎ このおっさん、子供泣かせて楽しんでた大人のクズだよ⁉︎
「そうです。何をおっしゃいますか? ホントはスカートめくりなどセクハラしたいのを必死に押さえているんですよ? むしろ褒めていただいきたい。いやー昨今はすぐ訴えられますからね。裁判になっては冗談では済みません……いやー生きづらい世の中になったもんだ」
「神父さんも最低です! 煩悩で生きているじゃないですか⁉」
ホントに最低だ……なんでこんなのが神父やってるんだよ。全国の神父に謝れ。
「あなたとはもう会いたくないです」
「いやいや、そんなことを言わないでくださいよ……私はかわいいお嬢さんと仲良くしたいですが……まあ、冷たくされるのも嫌いじゃないです」
「うわあ……」
これもう犯罪じゃない? 背筋が凍る……ッ!
ほんとにこの人、牢の中にぶち込むべきだよ!
「神父様、本当にやめてください。これ以上は教会の
「そうですか……誠に残念ではありますが、少しぐらい神父らしいこともしますか」
そう言ってすごく嫌な顔をしながら、私に向き直る。こいつはもうほんとにやめた方がいい。
「では汝のことを聞きましょう。何か悩みがありますね」
「そりゃ、人間ですからね」
「いやー手厳しい。もっと冷たくしてほしいです」
「…………」
私は無言で指差しながらフェイの方に向く。その表情はさぞキレているだろう。……だってキレているもの。
「あの……神父様、真面目に」
「私はいたって真面目です。いいですか? 自分の気持ちに蓋をするのはよくありあません。あなたも己の心に素直になりなさい。自分を偽ってはダメなんです。自分の心を解き放つことで見えてくるものがあります」
なんか神父らしいことを言うにかっこつけて、今までのことを正当化しようとしているぞ、こいつ!
「悩みというのは、あなたがしたいことが眠っています。あなたが願っていることがあります。まずそれを見つけてほしいのです」
「それが子供をいじめてた理由ですか?」
「そうです! それが私のあの時の望みだったのだす! さあ、あなたも赤裸々に欲望を言いましょう! 言うことですっきりします!」
……もう見てられないんだけど。
なんで私は教会でおっさんの性癖を開示させられないといけないんだ。
「言うのです。まずは己の中にある煩悩を自覚するところからなのです」
……なんか言っていることがまともそうに聞こえる。こいつは詐欺師かと思ってフェイに確認するけど「正規の手順です」と言われる。
「ほらほら早く。まずは煩悩を取り去ってから悩みの根源を考えるのが最短の道です」
なんか騙されている気がするけど、フェイが同意しているから私も煩悩を開示すべきかもしれない。
「どうしたいかを心に説いてみて下さい……あなたは今何をしたいですか?」
「今すぐルナとイチャイチャしたいです」
……場が凍りついた。
私はその問いかけに即答しただけだというのに……。
「とってもいいです。とても良いですよ! そうです。そんなことももっと出していきましょう」
「そっそうですか? では早くルナと体の関係を持ちたいです。あの白い肌をむしゃぶりつくしたいです」
「サクラちゃん、最低……」
って小声で聞こえてくるけど、私も神父に乗せられハイになっている。止められない。
「さあ、もっと! それがあなたの煩悩であるなら、もっと吐き出しなさい!」
「そうですか? ではですね。別に他の可愛い顔の子でもいいです。確かにルナはかなり私の理想に近いので多分いない可能性の方が高いかもですけど……あっこれ、結構クズな発言になっていますね。違います、違います。私はこれからルナ一筋です」
「まあ、いいでしょう。それがあなたにとって一番大事なら……」
なんか神父が若干引いている気がするけど……まあ、気のせいだよね?
「はい、神父さん! ルナは今病気で寝込んでいるので、弱みに漬け込んで襲ってきます!」
「それは人ととしてダメかも……いえ、神もきっと許すでしょう。多分」
「神父さん、諦めないで下さい! 今サクラちゃんが最悪なことやろうとしています! 聖職者的にも大人なんだからちゃんと止めて下さい!」
「神父さんもいいこと言うんですね! 迷いがなくなりました! 今すぐ既成事実作ってきます」
「いやー若い女の子に褒められるは嬉しいです。あなたの選択が幸福になることを祈ってます」
「その選択は不幸しか生みません! 神父さんもデレデレしないで下さい! あれはダメは方向に導いています‼︎」
なんかフェイがすごい失礼なことを言っている気がする。失礼な。
「何言ってるの、フェイ? この神父さんのお陰で悩み無くなったよ?」
「それは欲望を解放させる言い訳ですよ!」
「そうですとも。私は若い子の悩みを解決したんです。いい話じゃないですか? 仕事を全うしたと言っても過言じゃいです」
「まったくいい話じゃないです! 過言すぎますよ!」
「いやー精神魔法を使った甲斐があります。かわいい子がこんなにエッチなんて」
「は?」
私は思わず素に戻る。なんて言った? こいつ。
「精神魔法で欲望を言ってもらいました。めちゃくちゃいいことしましたね」
「ぶっ飛していい? こいつ」
「待って、サクラちゃん! 気持ちは分かるけど待って‼︎」
「そう。フェイとデートしたんだ……ふーん」
「えっと……まあ、デートと言えばデートだけど薬を買いに行ったんですけど」
あの後結局殴れないまま宿に帰って帰って、ルナとイチャイチャしようとしたんだけど……なぜか正座でイチャイチャしています。
「そしたらこんなに遅くなんないよね? もっと早く帰ってこれたよね」
「そっすけど」
なんかめんどくさい彼女みたいなこと言い出してきた……かわいいんだけどさ……どっちかというと怖いです。
「教会に行ってきたんですよ。そしたら神父さんとの悩み相談が始まってですね?」
「ふーん」
今も疑いの目で見てくる……どっどうしろと。
「私はルナ一筋ですよ。ちゃーんとルナが一番ですよ」
「別にそういうこと言って欲しいわけじゃないんだけど」
「ちゃんと神父様にもルナとイチャイチャして、結婚しますって言っておいたから!」
「私はサクラと結婚する気ないてすから!」
私の愛の告白も興味がないのか布団を頭まで被ってしまう、ホントにこれはどうすればいいんだ……私はこの後も散々推しだの嫁だのとご機嫌取りをすることになった――意外とルナってめんどくさいんだね。
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