第71話 もっと弱くなっちゃった②
しかし元の姿に戻ると言っても、まじでどうやったら戻るんだ?
「プリメーラ、“身体闘気化”状態についてもう少し詳しく教えてくれ!」
プリメーラはいそいそとボードを用意しながら解説してくれた。
「いいわよ! 今のトウヤは、『肉体と
「ほうほう......」
「本来、肉体と精神は水と油みたいなものなんだけど、そこに過剰な闘気が加わる事でどういう訳か一体化しちゃったのよ」
「つまり、混ざった過程と逆の道を辿って行けば元に戻るんじゃないか?」
「そーいう事になるわね......」
プリメーラはそう含みのある言い方で止めたが、俺もわかっている。それが簡単に出来たら苦労はしない事を。
そもそも、今の俺は闘気そのものなのだ。そこから闘気を取り除いてしまえば俺はどうなるか分かったもんじゃない。
最悪意識ごと消滅......なんて事も有り得るので、それは絶対に避けなければならない。
「何か上手い方法がないもんかね......」
こういう時は誰の知恵でも借りたいんだが......
「そういえばフィンはどこにいるんだ?」
ショクも見当たらない。二人で遊びに行ったんだろうか?
「魔王とスライムちゃんはトウヤが起きるとっくの前に遊びに行ったわよ。そろそろ帰ってくる頃だと思うんだけど――――」
次の瞬間、玄関の扉が勢い良く開く音が二階のここまで響いてきた。多分だが扉はまた壊れてしまっただろう。
「トウヤただいまーーーー!!!!」
「おかえりフィン。今日は何して遊んできたんだ?」
「遊びじゃなくてとっくん! ショクとたたかいごっこしてた!」
「ミ゚ッ!!」
余程楽しかったのか、フィンとショクは俺の前でエアー戦いごっこの実演を見せてくれる。
この一ヶ月、俺がこんななせいで殆ど何も教えられていないが、フィンは勿論、ショクも二人で高め合っているようだった。嬉しい! けどなんかさみしい!
斯く言う俺もこの一ヶ月何もしていなかった訳ではない!
俺は寝る間も惜しんで(嘘ちょっと寝てた)瞑想をし続けていたのだ!
心を落ち着かせ、闘気の本質を探るように自らの精神と向き合い続ける毎日......そして今まで闘ってきた相手とのイメージトレーニングを繰り返し行ってきた。
まぁ......実際に闘った訳ではないので、効果がどれくらいあるのかは分からないが、闘気に対する理解度は上がったような気がする。
――――
ルークの魔法通信から、恐らく数日が経過した。
“恐らく”などと言う曖昧な言い方なのは、事務所にプリメーラもフィンもショクも居ないからである。
確か最後に会話した時に「私達も色々と調べてみるわ」と言っていたから、つまりそういう事なんだろう。
フィンはショクと一緒だと思うし、「知らないおじさんについて行かない」と念も押してあるし、あの時とは比べ物にならないくらい強くなっているからまぁ大丈夫だと信じたい。
俺の方も瞑想とイメトレを続けていたら、ふと思い出した事があった。
“そういえば、前にも肉体と精神の関係性について何かあったような気がする”と!
いや、大切なヒントが隠されていそうな肝心の“何か”の部分が思い出せないんだが......俺が転生する前、確かに似たような問題に直面した覚えがあるのだ。
闘気が元の世界にも存在したっぽい所から考えて親父関連の話だったような......
親父、肉体と精神、対ジン式格闘術と闘気......よし! 段々とヒントが集まって来たような気がするぞ!
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