第4話 魔王倒せました②
「あれが四天王......名乗りの油断を殴り飛ばしたとは言え、雑魚だったな!」
「私達が長く転生者を送り続けた努力って一体......」
プリメーラは別方面でショックを受けていじけてるみたいだが、後で慰めてあげよう。
後ほど聞いた話なのだが、四天王は実は無茶苦茶強かったらしい。
特に最後のファストラルとかいうなんかテレパシーで話してたヤツ。なんでもアイツの倒し方は数百年に一度だけ、コンマ100万秒に一度だけ出現する核を的確に攻撃しないと倒せないとかいうゲームもビックリのクソ害悪四天王だったのだそうだ。
それ以外にも倒し方が無い訳では無いっぽいので、まぁ今は運が良かったと考えておこう。
――――――
さあ、来やがった。今までの出オチ集団とは隔絶したオーラ......
「ようやくお出ましか......魔王!」
「まさか“してんのお”をものともせずたおすとは......だがこの我はそうかんたんにはいかないぞ! 我はまをすべるもノ゛ッ......いたい......」
今盛大に噛んだぞこの魔王。
「決まらねー......」
「少し黙ってて貰うことはできるか!? 魔王様はこの人為に毎晩練習しておったのじゃ!」
魔王の他にも誰かいるのか? 土煙でよく見えないが、確かに魔王っぽい人の横に誰かいるような? 腰が曲がってて......おじいちゃんか?
「我は“まおう”! この我をたおしたくば!......我をたおすがいい?」
なんで疑問形なんだ......?
土煙が晴れ、ようやく魔王の姿が確認でき......でき? え?
そこで魔王っぽい決めポーズをしていたのは、どこからどう見てもちびっ子コスプレコンテストに出る予定の少年であった。
「......え? 魔王って子供?」
「こどもじゃない! まおうだ! ばかにするのかこのお――――」
城だった瓦礫の上から飛び上がり、俺に攻撃を仕掛けようとしている!
「ッ! 来る!?」
「いだい!!」
でも絶望的な脚力の無さでそのまま落ちた......
「じい~! いだぃぃぃぃぃ! わ゛ァァァァァん!!!!」
そのまま泣き出した......
「大丈夫ですか魔王様ぁ! 勇者殿! あなたにこんな事言うのは間違っていると百も承知ですが......我々の負けでも良いのでどうか魔王様の命だけは......」
負けでもいい? その言葉に俺とプリメーラはまん丸になった目を合わせる。
「トウヤ、今......負けでもいいって言ったわよね......?」
「聞き間違いじゃない......え?」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
こうして、トウヤの異世界壊し屋生活は幕を閉じたのだった!
――――完――――
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