第3話 魔王倒せました①

 急激に判明した魔王城最寄りの街、“エンドランス”より約1キロ!! そこに魔王城はあった!!


「俺さぁ、言ったよ? 確かに『魔王即倒す』って。でもさぁ......この近さはねぇだろこの近さはァ!! 普通駆け出し冒険者とかが沢山いる街に飛ばすだろ!? どおりで空が紫色だったり全体的に空気がどんよりしてたりでおかしいと思ったんだよ!」


「ホント! 悪いと思ってるから! あんまり揺らさないで脳ミソシェイクになっちゃう!!」


 ここでプリメーラに八つ当たりしてもしょうがないよな......元々俺が速攻倒すって言っちゃった訳だし......腹括るしかないよな。


「プリメーラ、流石に情報は欲しい。敵の数その他諸々教えてくれ」


「そんなの私が知ってる訳無いでしょ? 女神だし(?)」


 多分、これも仲間達とあれこれ旅をする中で情報を集めたりしてやるモンなんだろうが、俺は全部すっ飛ばして来ちゃったって事ね......


 これは完全に俺が悪いわごめん!!


「よし! よし分かった! やる! よぉしやるぞ! プリメーラ、お前は何が出来るんだ?」


「女神っぽい事なら人並みに!」


「頼もしいのかそうでもないのか不明瞭だけどありがとう! さぁーて始めるか!」


「突入するの?」


「いや? 魔王城コレ、一発吹き飛ばして更地にしようかと」


「それ、本気で言ってるの!? こんなゴツいシン〇レラ城みたいな建造物、私の攻撃系魔法でも多分一撃は無理よ? ロクな武器も魔法も無いのに......」


「うーんと......城壁のここら辺かな?」


「人の話聞いてる? あと何してるの?」


「探してるの......お、ここだな? じゃあいくぞ......」


 拳だけに力を入れすぎない......全ては力の伝え方......無機物の破壊は基礎!!


「【必殺! 破壊パンチ】ィ!!」


 俺が拳を当てた所から、衝撃とヒビが蜘蛛の巣状に広がる。


「ウソ......」


 次の瞬間、魔王城は土台から吹き飛び、完全に倒壊した。


 何事かとわらわら魔物達が外へ出てきた。


「なに......今の......」


「頑丈に見える建物ほど弱い場所に一気に力を加えられるとこの通りすぐ壊れるんだよ。その弱い所を俺は“核”って呼んでて――――」


「おい貴様ァ!! ここが魔王様の居城との知っての狼藉かァ!?」


 俺の後ろにいきなり現れた......赤い皮膚、それぞれ四つづつの四肢、俺の倍以上の体躯......


「いや誰?」


「よもやこのオレの事を知らぬとは......いいだろう教えてやる! オレは魔王様最強の配下! 四天王が一人! “阿修羅豪鬼”のクワトロス――――」


「長い!!」


【必殺! 腹パン!】


「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」


「フ......まさかクワトロスを一撃で葬るとは......だがヤツは四天王の中でも最弱! 四天王の名折れよ! だが貴様なぞ、この四天王が一人、”三色同順“のトリニタス――――」


「うっさい!」


【必要! 土下座パンチ!】


「ぐぁぁぁぁ!」


「トリニタスまで倒すとは! だが! 貴様に四天王随一の策士!“無敗司令”のセカンディア様が倒せるか――――」


「司令なら表に出てくんなァ!!!!」


【必殺! 会議室へ帰れパンチ!】


「ジケンハカイギシツデオキテルゥゥゥゥゥ!!!!」


「...........(まさか、四天王を三人も倒すとはな。だが、この四天王最強の魔人!“魔王の虚影”ファストラルが貴様に倒せるか――――」


「テレパシーで脳がごちゃつく!! くどい!!!!」


【必殺! 言葉のキャッチボールパンチ!】


「............(ぐぁぁぁぁ!)」


「――なんじゃこの出オチ集団は」


 一人は遥か遠くへ墜落し、一人は地面に埋まり、一人は会議室へ帰り、一人は精神のみの存在だったのか消し飛んでしまった。


「勝った」

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