第32話 帝都の門前

「これが帝都ですか、ふむ、この都市が壊れる前に異世界の建築物や文化を観察しましょうか」


 城壁に囲まれた中に、人々の営みを上空からながめ、まだこの帝都にせまりつつある、ゴーレム軍団など知るよしも無く、平和に過ごしていた。


「普通と言うものが分かりませんので、城門から入りますか」


 城門では、兵士が数人で身分確認や、積荷などを調べる為に、入城待ちの列が出来ており、最後尾にニールは並んだ。前にいた冒険者が奇異な者を見るように話しかけてきた。


「よう、あんた見ない顔だな、、」


「はい、この帝都には初めて来ました」


「ほう、あんたも冒険者か?見た事ない剣だな、それにな、白髪に赤い目ってのもな、人族なのかい?」


「え、人族ですが何か?」


「まぁ、赤い目ってはよ隣のカイゲ連合国の魔族にいるんだとよ、ギルドで聞いただけで見たこたぁねーけどよ」


「そうなんですか、『悪魔の子』と言われていたのはそう言う事だったのでしょうね」


「お前さんからは、殺気もしねーしな、魔族ってのは排他的で好戦的だとも聞いたしな」


「、、当たっているかも知れませんね」


「っと、そろそろオレ達の番だな、」


「質問よろしいですか?私は身分証明書は持ってませんが」


「ギルドカードを亡くしたのかよ、じゃあ金を払えば大丈夫だぜ」


冒険者達は、さっさと兵士にギルドカードを見せて城内の喧騒に消えて行った。


「次!、冒険者か?カードを見せろ」


「冒険者ではありません」


「なら、銀貨1枚だ」


「お金も持っていません」


「何?貴様何処から来た!!魔族か?」


 兵士が大声を出し、周りの兵士も集まりだし槍先を向けて囲んできた。


「ふむ、殺す覚悟で槍を向けて来ているのなら、私も殺す気で行きますね」


 正面の兵士を居合切りで首を跳ね飛ばした。

返す刀で右の兵士を袈裟斬りし、後ろの兵士を回し蹴りで頭部を爆散させ、最後の兵士は腰を抜かして座り込んだ。


「ば、化け物!!」


 最後の1人を上段から振り下ろし身体が左右に別れた、城内に消え去って行った、兵士だった遺体が残された




「人間ですよ」


 帝国の民にその呟きは聞こえず、逃げ出していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る