第20話 魔物の軍団
辺境伯屋敷の会議室で、とある一報により議論は白熱していた。
「剣聖殿、斥候の冒険者から魔物の群れを確認しましたが、様子がおかしいのです」
『剣聖』と呼ばれる辺境伯領主のバス=ブラウフォンは、長男のゴルドと冒険者ギルドマスターの報告を聴いていた。
「ほう?ただの群れなのだろう、切って捨てればよかろう」
「確かにそうなのですが、奴らは南北に無数の拠点を作り魔物を統率している動きがあるのです」
「はっ!魔物にそんな知性があるとでも?まぁゴブリンキングやオークキング、オーガ、リザードマン程度ならそれくらいは出来るか、数は多くあるまいよ」
「いえ、各拠点には、それぞれのキングを頂点としジェネラルも確認しております、またホブゴブリン以下の下級の魔物はいないようです、オークもハイオークしか確認出来ず、、下層の魔物が協力し更に集結中です」
「魔物の総数は!」
「下層だけでも10万体、中層から山脈付近は確認も出来ません」
「むう、ギルドマスター!冒険者に招集をかけろ、辺境伯軍も動員し、私も出るぞ!大森林の前にバリケードを築け、弓矢もありったけ用意しろ、魔法使いは後方からの支援だ!早急に準備しろ!!」
「はい、了解致しました!(しかしバリケードなどでは意味はあるまい、(若い冒険者には、他領のギルドに行かせるか)」
「スタンピードなど、何度も経験したものよ!さて、今回は何匹狩れるのか!」
「そ、そうですね(剣聖と言っても対人戦の剣術武道会での優勝、人間相手の戦争では無い魔物だというのに)」
ジーフの大森林の2km手間に、バリケードや空堀が作られている途中にも冒険者の斥候の報告に、バズ辺境伯領主と辺境伯軍は戦意を高揚させつつも、ギルドマスターは既に逃亡ルートを模索していた。
ついに、魔物の軍団が姿を現した。しかし無策に飛び込んでくる魔物はおらず、弓矢や魔法が届かない所に集結しており、何かを待っているように、整列し隊列を組み人間の軍隊のように盾や剣を鳴らし威嚇をしていた。
「剣聖殿!こちらから魔物を蹴散らしに撃って出ましょうぞ!」
「軍団長よ、こちらの兵数は何人だ」
「は!5,000人おります!見た所、魔物はたかが10,000程度、それにドラゴンスレイヤーのゴルド様もおられます!恐るに足りませんな!」
「う、うむ、そうだな、?!オイ!上空からも魔物だワイバーンか、、いや巨大なドラゴンだ!」
「ふむ、矮小なる人間共よ我がブレスによって骨まで燃えるがよいわ!!」
たった一度のブレスで凄まじい光と灼熱の炎がバリケードや辺境伯領主、軍団、屋敷やその奥にある街並みさえも一瞬で灰になった。魔物の軍団は総勢50万と増え前進を開始した。エンシェントドラゴンを先頭に、ドラゴン部隊がオーダー王国の王都に向かい、次々と街や村を蹂躙していき、その日の夜には城は陥落しオーダー王国は長き歴史に幕を降ろした。
ニールは、重力魔法で上空から、何の感情も無いまま、ただ眺めていた、この世界の文化や文明に興味が無かった。
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