第16話 隠遁生活


 ショカさんは、この家が気に入ったようで既に一週間、最初は落ち込んでいたが、色々とこの世界の国々や常識を教えてもらえた。

 ジーフの大森林は南は海があり、西はオーダー王国、北にイサト帝国とカイゲ連合国、東の山脈の向こうにカワミ神聖国とあるらしい、中でもカイゲ国とカワミ神聖国は毎年戦争をしているために、疲弊が溜まっているそうだ、カイゲ連合国は他部族の連合体であり、獣人や魔人がいるとの事。

 冒険者の職業についても教えてもらい、冒険と言う冒険はしない、堅実に死なないように魔物を討伐し、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮も多数あり、何故か宝箱があったり、ダンジョンの魔物は遺体は残さず魔石や剣や鎧、魔法書、ポーションなどなどと多種多様なアイテムをドロップするのだとか、「非常識なのにぃ、常識を知らないのぉ」などと、言われてしまった。ソニアさんは他国は知っていたけど、ダンジョンの話しは知らなくて「いつか行ってみたい!」と目をキラキラさせていた。


 今日も縁側に座り、ぼんやり空の雲を眺めながら、独り呟いた。


「ダンジョンですかぁ、隔離された迷宮、地下なのに、昼間や夜もあるのですか、誰かが時空魔法と結界魔法で創りだしたのでしょうか」

「ニール様はダンジョンに行きたくありませんか?」

「興味はありますが、そこで何をすれば良いのか分かりませんので」

「お宝です!どんな財宝があるのでしょう!」

「ソニアさんエンシェントドラゴンの鱗ならまだ沢山ありますよ、また貰ってきましょうか?」

「あれは、売れ無いですよ、それに爵位、名誉や名声!一流冒険者になれるのですよ!」

「認めてられたいのですか?私は『絶承認欲』があるので、国王や貴族に認められたとしても何も感じ無いのですが、武器や防具も高値なのでしょう?自給自足ですからお金ありませんよ」

「そうでした、あれからショカさん以外誰も来ませんね」

「まぁ、焦らなくても良いのでは?昨日はワイバーンのお肉も獲ってきましたし、時間停止保管庫にはまだまだ、穀物もありますしね」

「つっそうです!!ニール様、刀鍛冶など趣味になさっては?」

「私に鍛治のスキルはありませんし、力も弱いですよハンマーとか重たそうですね」

「とにかくニール様は何か好きな事は無いのですか?趣味からスキルを得る人もいるとか」

「趣味、と言えるかは分かりませんが、こちらの本が読みたいですね、この縁側で読めば嬉しいかも知れません」

「本は、、非常に高価なもので、庶民にいたっては、文字も読めない方が多いですよ」

「では、仕方ありません私は空を眺めていたいです」




「ニール様、、何か達観し過ぎて、お年寄りのようです、生きる希望があれば良いのですが」

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