第14話 賢者ショカの困惑と決意


 金色の髪を腰まで伸ばし、全身白いローブに白の三角帽子を身にまとい、青い瞳を「イオリ」と言われた聖なる光を発する赤い炭火に心を奪われていた。


「ここまで、歩いてきたけどぉ、街道は見た事もない黒っぽい舗装にぃ、等間隔に並んでいた、これも見た事もないゴーレム?なのかしらねぇあれって、コアは「魔力視」でもどこにあるのかも分からなかったぁ、全身が聖なるコアで出来てるぅ?」

 まさかね、と呟いきながら歩き疲れていたはずなのに「イオリ」のおかげか全身が癒される事に首を傾げていた。この地はジーフの大森林の真ん中に、高い城壁に謎の門。門をくぐったら信じられない光景があった、水が張ってありる畑にポツンと佇む一軒家。

 近づくにつれて、膨大な魔力が天まで届こうとしていた光景に二の足を踏んでいた、あの魔力の主がここの住人。

 

「はぁぁ、疲れたぁ」

「やはり、ニール様は怖いのですか?」

「怖くですよぉ、無自覚なところがねぇ人間的には好感はもてる優しい人なんでしょうねぇ」

「さすが!賢者様!分かってますね!では、お食事にしましょう!」


「この!お肉は?美味しいぃ〜」

「アースドラゴンの霜降り肉ですよ」

「、、、あ、アースドラゴン、、、」

「はい!ニール様が仕留めてまいりました、白いのは米と言う穀物ですよ」

「へ、へぇ〜、あ!美味しい!」

「おかわりもありますよ!」


「ご、ごちそうさまぁ、、食べ過ぎたぁ〜」

「うふふ、では長旅でお疲れでしょうからお風呂はいかがですか?」

「お風呂ぉ!入りたいぃ〜」

「では、こちらになります」


「、、な、何この聖水のお湯は、ま、まぁ入りましょう」

「お湯加減はいかがですか?」

「あぁ〜癒されるぅ〜」

「あらら、聞こえてませんか、私も初めてはそうでしたからね」


「では、お着替えはこちらに」

「これは?」

「ユカタと言うものですよ、寝まきですね、こう羽織ってから、この「オビ」で巻きます」

「おぉ、これは絹?もったいない使い方ですぅ」


「これが、布団です畳の上に敷いて掛け布団をかけて寝ます」

「?ベッドは、まぁこの家の流儀に、って!羽のように軽いしお日様の香りに、このタタミの香り!良いですぅ」

「羽毛なので、羽なのですよ」

「・・zzz...」

「と、お疲れでしたか、寝てしまいましたね、おやすみなさいませ」


「う〜ん、、よく寝たぁ、顔を洗いに行きますぅ」

 

 障子を開けて縁側に出て、洗面台に移動途中にニールが暁色の空を見上げて月を見ていた。ただ、座って月を見上げいるだけの彼はなんとも形容しがたい神々しさがあった。そして魔力をコントロールし全て消していた。


「お、おはようニール君」

「おはようございますショカさん、ところで何であの月はこの星に落ちて来ないのでしょうか?」

 突然の質問、今まで考えた事すらも無い質問、「そういうものだから」としか考えもしなかった問に賢者とは?とは、と自嘲するほかなかった。

「月は、この星から逃げようとしています、ですが逃げないようにこの星も見えない力で引っ張っているのです」

「、、、見えない力、、」

「はい、私の持っている石ころを離すとどうなりますか?」

「、落ちます、、」

「はい、この通り落ちました、これが「万有引力」と言う見えない力ですね」

 彼は優しく微笑んでみせた。



 


考え方が違う、魔法以外の見えない「力」を知りたい。ショカは決意を固めた。

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