第13話 初めての来訪者
街道整備を終え、そろそろ1か月が過ぎようとしていた。ニールはその間に、動物性タンパク質は魔法では作れなかった為に、ジーフの大森林では最強であった、アースドラゴンを「大きいトカゲが獲れました、食べられますかこれ?」など、山脈の頂上にてエンシェントドラゴンに「大きなドラゴンとお話しをして、鱗をもらいました、魔物でも面白い方もいるのですね」などと、ソニアに呆れ顔をされながら基本的にはお気に入りの縁側で昼には水田を、夜には月や星を観測していた。
今日も縁側で緑茶をすすりながら。
「ニール様、お客様がお見えになりました」
「あぁ、やっと商人さんですか?」
「いいえ、エルフの女性で『賢者』の称号を得ているショカ様とおっしゃる方です」
「エルフ?人間とは違うのですか?」
「はい、とても長命で魔法に精通しており、精霊に愛さている種族になります」
「魔法、ですか私にも教えてくれるのでしょうか、お会い致します」
「では、囲炉裏の間におりますので一緒に行きましょう」
「はじまして、ニールも申します」
「ひっ!!シ、ショカと、、いう者です、あの失礼なのですが魔力を抑えてもらえませんか、あなたの魔力で、あの、、」
ソニアと顔を見合わせて疑問を投げかけてみた。
「魔法を、抑える?申し訳けございません、抑え方を教えて頂けますか?ソニアさんは普通にしていますが悪影響があるのでしょうか?」
「い、いえ、悪影響どころか、良い影響ならありますが、その、余りにも膨大な為、、私は『魔力視』で見えてしまい、その、恐ろしいのです」
「それは、大変失礼致しました御教授頂きたく、対価はドラゴンの鱗でもよろしいでしょうか?」
「対価など、ってドラゴンの鱗?」
「はい、こちらです」
人間の背丈ほどあるエンシェントドラゴンの鱗を差し出したところショカの興味はそちらに釘付けとなった。
「こ、こ、これはどちらで?国宝級ですよ!!」
「(また国宝級ですか、戦争になるとか)えと、拾いました、ご遠慮なくどうぞ、では早速魔力を抑える方法を教えて下さい」
「え!あ、はい、魔力コントロールは出来ますか?、身体の内側に流すようにして下さい」
「魔法コントロール、身体の内側、流す、えと、、、こんな感じですか?」
「ええ、少し練習が必要ですけど、それでもまだ常人以上ですけどねぇ、ところでニールさんはお幾つなんですかぁ」
「5歳、ゴホン、20歳です、それよりショカさんは私の容姿は不快ではありませんか?」
「ええ、特には」
「両親にさえ『悪魔の子』と言われ続けられたもので、良かったです」
穏やかに微笑みながら。
「あなたは、特に聖属性が強いですねぇ!悪魔?私には神の使いに見えますよぉ」
「やはり!ニール様は神の使いなのです!!」
「(白い女性は、私の魂は、とか)そ、そうですか、ではショカさん私に魔法を教えて頂けますか?」
「いいですよぉ、と言ってもニール君の方が魔力は強いですのでぇ、基本だけでしょうねぇ」
こうして、ニールにとってはこの世界で2人目の理解者を得た。
(512年生きてても、ニール君みたいな人間は初めて出会いましたぁ、王立魔法研究所でもこれ程逸材は居ませんねぇ)
魔導探究の信者としての熱い思いが込み上げるのであった。
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