第12話 新しい生活
ニールは縁側に座り、水田をただ眺めていた。
(この屋敷に来てから1週間ですか、ソニアさんは大分落ち着いてきましたが、どうやら私は非常識だと言われてしまいました、無限収納袋を見せたら国宝級であるとのこと、便利だと思うので適当な袋を「空間拡張」と「時間停止」の魔法を使用しただけなのですが、、転移魔法にも驚いていましたね)
「ニール様、お茶をどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
縁側で緑茶をすすりながら、また水田を眺めようとしたところ不意な質問を投げかけてきた。
「ニール様は、こちらで何をされているのですか?」
「いえ、何も」
「ニール様は今やりたい事、その、例えば趣味などは無かったのですか?」
「やりたい事ですか?特に有りませんが、何かした方が良いのでしょうか、ソニアさんは何がしたいのですか?」
小鳥が庭先に舞い降り、2人でその様子を眺めながら。
「ニール様はこの世界や常識を学ばれてはいかがですか?」
「確かに、『全知識』と言う本では、他人の考え方や価値観などは理解できませんね」
「そうです、ニール様は自ら他人と交流はされなかったのではありませんか、、その、あちらの世界でも」
「そうですね、仕事以外では外出もした事もありませんでした」
少し寂しそうな顔をしながら、そうなのですか、と呟いたのちに。
「では、商人さんを呼んで商売をなさってはいかがですか?他国の話しも聞いてはいかがです」
「商売ですか、何を売れば良いのでしょう?」
「ニール様が用意された、小麦粉や塩、砂糖あと鉄も売れると思いますよ、あ!マジックバックは絶対ダメですよ!戦争になります!」
「マジックバックとは「無限収納袋」ですか?あんな物で戦争とは大袈裟ですね」
「!!とにかく見せてもダメです!いいですか!」
(この1週間で、ジーフの大森林も元通りになりまた魔物も多くなってきました、、あぁ「豊穣」とイメージしたせいでしょうか?魔物は魔素が濃いからでしょうか、魔物とは不思議生物ですね興味はありませんが、では安全な道路を作らないといけませんか、では)
「では、ソニアさんの意見を参考にさせて頂き、安全な道路を作ってきます、前にもお聴きしましたが、この土地は誰かの管轄地ではありませんよね、1番近い国はオーダー王国の辺境伯領ですよね?」
「はい、魔物や他国の最前線ですので、商人や冒険者も多いですよ」
(冒険者?、まぁ来たらお話しを聴きたいですね、どんな冒険をしたのでしょうか)
「では、行ってきます」
(真っ直ぐな道で、安全、、地属性魔法で道路は出来ますが、安全となると、ゴーレムを創造して番人にしましょう)
「アスファルトをイメージしてと、、真っ直ぐな道路、、門扉の前に駅前のロータリーも必要でしょうね、、、」
森林が生き物のように、左右に分かれ中央には白線が引かれた道路が出来ていた、門扉の前にもグルリと周れる広場に真ん中には公園に噴水までも完成していた。
(やはり呪文は必要無いようですね、イメージと言葉だけで良いみたいですね、ゴーレムは見た事が無いので、、侍のイメージでも良いのでしょうか?とりあえずイメージしながら練習してみますか)
「日本刀を帯剣し、槍を持った武士さん合戦場に集まって下さい」
森のいたる所から、立派な鎧武者が続々と現れニールに対し肩ひざをつき始め、本当に合戦に参加するように指示を待っていた、総勢で約一万人の大軍勢が集結し、全ての鎧武者には一騎当千の雰囲気を醸し出していた。
(、、、イメージは昔みた映画そのものなのですが、魔力のコントロールが出来ませんので、仕方ありませんがドラゴンもいるようなので、大丈夫なのでしょうか?それに私と何かしらのリンクも繋がっているようですし)
「では、皆さん街道の安全を確保して下さい」
その、一言により鎧武者は統率された動きで街道に沿って一定の間隔で警備に走り出して行った。
(私が出来る事はこのぐらいしか出来ませんが、本当に商人さんや冒険者さんは来てくれるのでしょうか?)
ソニアは、余りの非常識さに、言葉を失って呆然とするのであった。
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