第11話 知識欲とは


 ジーフ大森林の中層はいまだに炎上し、焼け焦げた魔物の躯が多数広がり地獄絵図といった様子であった。


(ふむ、このままでは危険ですね、まずは鎮火と整地からですか、しかしそんな魔法はあるのでしょうか)

「全知識」

(鎮火の魔法と、整地の魔法あとは、清浄の魔法は?)

ペラペラ、ペラペラ、ペラ

(水属性魔法と地属性と聖属性の複合魔法で、一回で住むと、、やはり魔法とは不思議ですがやってみましょうか)


「聖なる豊穣の雨」


 火災により生じたチリが青白く光を帯び、さらにどこから現れた積乱雲に吸い込まれたちまち大雨となり、洪水を起こし全てを洗い流して行き、隕石落下の多数のクレーターは清らかな湖となっていった。その流れは下層や辺境伯領までも一時的に聖水ともいえる水は流れ、傷を負った者すらも回復していた。


(魔力を込め過ぎましたか、実質この異世界に来て3日目ですから、、と、15年での身体的成長も関係あるのかも知れませんね)

(では、次は外壁ですね、地属性の魔法にありましたね、二重にして間には時空の歪みを作り迷路にしましょう、門扉は邪な考えも持つ者や魔物を通してはいけませんね)


「迷える外壁」

「誠実の門扉」


 ゴゴゴゴ、、高さ50mの壁が奥行きと幅5kmに伸びて行き、門扉には白い幕の様な薄い結界が張られていった。


(やはり魔力のコントロールができませんね、イメージが大切であるとあるのですが、仕事以外は、特に趣味も無いですし、見た事も無いものはイメージ出来ませんね、白い女性が言われた『日本人なら異世界』とやらにも勉強しとくのでした、反省ですね、、次の家なら)


(そう、あれは若い頃に土地の調査の為に行った田園風景の中に平家の農家の屋敷、縁側に明るい陽射しがさして、障子を開けると井草の青い畳にイオリに、どこかほんのり赤く焼ける炭の香り、、、、?)


 眼前に今、思考していた古民家が出来ており、あたり一面の水田には綺麗に並んだ稲穂が風に揺れるたびに水面もキラキラと輝いていた。


(、、、呪文は必要ないのですか、これがイメージなんでしょうね、地属性と、水属性の複合魔法なのでしょうか、「全知識」で全て知るのは、簡単なんでしょうけど、最後の『知識欲』が無くなった私は、無欲、になるのでしょうね、異世界に来てからは無気力には、、なりそうですね、、、いずれ「全知識」を手にした時には、、、)



(さて、ソニアさんを迎えに行きますか)

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