第8話 レベルアップ

ジーフの大森林での戦闘中にニールには何か分からない身体が熱くなる感覚を感じていた。『無痛覚』のスキルがあるため、しばらくは無視してゴブリンとオークの始末も粗方終了したため、一度クロックアップを止め、身体を注視するために立ち止まって観察をした。

(魔力が増えてるのでしょうか?ふむ分かりませんね)

「全知識」(魔物を討伐するとどうなるのですか?)

本のページが開き「レベルアップする」と書かれていた。前世ではゲームを買う金もなく、公務員になってからは法律の勉強しかしてなかったと反省しながら、白い女性の「日本人なら分かる」と言う言葉を思い出し、ことさらに不勉強を反省していた。

(レベルアップとは何ですか?)

筋力、体力、魔力、器用、素早さ、などの向上。スキルの取得。

(あれ、そうなんですか?朝の駆け込みや剣術の稽古ではレベルアップはしないのですか?)

一定のレベルアップは可能であるが、多大な時間や労力がいる。

(では、一応無駄では無かったと言う事みたいですね、さて今はどれぐらいレベルアップしたのでしょうか、ゴブリンやオークでは大した事はないのでしょうね)


ニールは一度周囲を見渡し、生き残りの始末を行うために、クロックアップを使用した。




屋敷の中や庭をソニアは走っていた。

「ニール様に、私はなんて軽はずみな事を言ってしまいました、ニール様は『悪魔の子』と家族からも使用人ですらも無視され、蔑まされ、疎まれても、気丈に振る舞いながら、食事さえも不要とまで、しかも税金泥棒になるとも言われた、ですので魔物討伐が貴族の務めなどと、、まだニール様は5歳なんです、責任は大人になってからなのに、、探さないと!」




ニールは、オーガが逃げて行った方向を眺めつつ、オーガ討伐中にクロックアップの使用を止めて自身の身体のみで戦闘を行っていた事に思考を巡らせていた。

(みなさん魔法を使わない理由が、理解出来ました、魔物を討伐すれば、この短剣すら不要ですものね、ましてや使い過ぎたら死ぬような魔法は最後の手段なので、ソニアさんも教えてくれなかったのですね。父上も兄様達も魔法の花は一切聞きませんでしたし、父上は「剣聖」ですものね、私は平凡な公務員でしたし、しかし何故私のような凡庸な男にこの異世界来て欲しいのかは謎なのですが、また新たな知識を得られたのは最後の幸福なのですね)





天界から女神が呟いていた「すぐに、魔物が全部討伐されてしまう」と

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