第3話 目覚め
天蓋付きのベッドの中でニール=ブラウフォンは目を覚ました。まだ、暁にもならない深夜とよぶべき時間に。
ニールは全てを思い出した、そして考えを巡らせ『スキル』とは何なのかを思考した。
かつて『太田』だった者はニールとなり何故に眠気が無くなったのかを。知識欲以外を不要とした者は『睡眠』すら必要が無くなったのだと結論に至った。(そうかコレがスキルと言うモノなのですね)ならばと、机に向かい羽ペンを手の甲に刺してみる。タラリと滴り落ちる血液を見て、痛みが無い事を確認したあとまた、考えをまとめていった。
ニールは今年で5歳、次男のデルは7歳、長男のゴルドは12歳。父であるバズ=ブラウフォン辺境伯。オーダー王国の最西端の地にて「剣聖」の称号を与えられた武闘派の貴族であり、燃える様な赤髪が特徴的な家系であった。また、長男のゴルドは既にドラゴンスレイヤーの称号を得ており、次男デルも剣において才覚を現していた。ニール以外は皆赤髪であり、襟元まで伸ばし一括りにしていた。ニールは生まれつき白髪に白い肌と赤い目をしており異質とされ、貴族間において、ほとんど人目に晒されてる事もなかった。
「おはようございますニール様」
「あぁ、おはようございますソニアさん」
「ソニア?さ?ん?」
彼女は、ニールの侍女ソニア薄い赤髪を肩で揃えた長身女剣士。ニールの剣の師匠でもあった。
(あ、私はまだ5歳でしたね、そしてこの姿はアルビノですね、認知度が低いため、悪魔の子とか、、それは申し訳ない事をしてしまいました)
「ソニア今日は朝食は要らないよ」
「え、ニール様どこか具合が悪いのですか?」
「あぁ、大丈夫、、それと僕は食事は今後必要無くなったから、剣の稽古だけで良いよ」
「だ!ダメですお食事は体を作るために必要なのです!それに身の回りのお世話は!私の仕事です!ニール様は私をクビにするおつもりですか!必要無いとおっしゃいますか!」
「そ、そんな事ないよ、僕はほら『悪魔の子』だろ、僕の近くにいたら、ソニアに迷惑かけちゃうだろ?」
「誰が『悪魔の子』ですか!ニール様はこんなにお優しいのに、、、」
(困りましたスキルの事を教えても良いのでしょうか?また、気持ち悪くさせてしまいますし、前ニールの記憶からも5年ですが、家族とはほとんど話すらした事が無いようですしね。私の前世でも同じですから何にも感じませんが)
「と!とにかくニール様の侍女はこのソニアは譲りませんから!」
(ソニアさんは仕事熱心なんですね、私など厄介者でしか無いと思うのですが)
「わ、わかったよ、じゃあ今まで通りでお願い、日課の走り込みに行ってくるよ」
「はい!ニール様お気を付けてください!」
「う、うん」
屋敷の外周を走り込みながらニールは、この身体とスキルについて思考をしていた。気がついたら既に夕方に差し掛かっていた。(全く疲れませんね、そしてやはり食事は不要ですね。このエネルギーは何なのでしょうか。まぁスキルなのでしょうね不思議です)
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