第2話 女神との対話
私は青空の下、見渡すかぎり草原の中にいる事に気がついた。雨上がりなのだろか所々に水溜りがあり青白く空の色を写していた。
「ようこそ、天界に」
いつの間にか隣には病室で見た白い女性が立っていた。不思議と驚きは無かった。
「天界、、ですか、やっと私は苦しみから解放されたのですね、ですが貴女は何故悲しそうなのですか?」
「はい、貴方には、大変申し訳ないのですが『異世界』に行ってもらいたいのです」
「いせかい?とは??日本以外の外国ですか、外国語は話せませんし、、」
「いいえ、そもそも地球ではありません」
「太陽系外惑星ですか?そうか、見つかってたんですね。凄いですねニュースも見れませんでしたので」
「それも違います、剣や魔法のある世界です」
「剣は理解出来ますが、魔法?とは?」
「日本人ならこれで通じると、日本の神から聞いていたのですが、、、貴方は知らないのですか?異世界転生の事を」
「はぁ、勉強不足で申し訳けございません。相対性理論は入院中に読みました、超ヒモ理論は途中までしか、残念です」
「スキルも分かりませんか?」
「スキルなら簿記2級なら持っていますが」
「そ、そうですか、、」
「あ、そうでした!あの看護師さんにお礼は出来たのでしょうか?」
「貴方は、この後に及んでまで、、あそこに在る水溜りをご覧なさい」
「はい、えと、、あ!あの黄色の花の脇に『ありがとう』のメモ!私の字だ、良かった」
「はぁぁ、、では、話しを進めますね、貴方はこの場所でスキルを取得して異世界で生活してもらいます、剣技でも魔法でも選んで下さい」
「それは、確定なのでしょうか?そもそも何故私なのでしょうか?父親から毎日殴られて、母親からは無視され、公務員に採用されてからも『税金泥棒』だのと、、私は最低な人間なのですが」
「それでも貴方の魂は強い光を纏っています」
「魂ですか?、、心は既に、ボロボロなのですが、、喜怒哀楽も無いと思います」
「ならば問いますが!最後の貴方の願いは!!」
「、、、ただ、、私のようなクズ人間なのに、お礼が言いたいだけで、、」
「では!!次はあちらの水溜りをご覧なさい!!!」
「な、なんで?看護師さんが泣いてるのですか、仕事なんだから泣かなくても、、、」
「貴方は理解出来ないのですか!!はぁ、はぁ、はぁぁ、、声を荒げて申し訳けございません本当に貴方は心を壊していたのですね」
「、、、、申し訳けございません、、」
「貴方が謝罪する事はありません、では早速ですがスキルを取得、と言っても分かりませんものね、何が出来るか、出来ないのかを想像して下さい」
「想像ですか、、入院前に私物は処分出来ましたし、難しいですね、あ!超ヒモ理論を理解したいです、ヒッグス粒子の理解もですね」
「で、では必要無いものは?」
「食欲、睡眠欲、性欲、承認欲、怠惰欲、快楽欲、生存欲は必要ありません、痛覚もですね。」
「そ、それでは知識欲しか残りませんが」
「はい、51年の人生でしたが勉強不足を痛感致しました、申し訳けございません」
「ですから謝罪は、、まぁそれが貴方を選ばれた理由なのかも知れませんが」
「それでは、いせかい?では私は何をすれば良いのでしょうか?」
「異世界に行って頂くのが私の仕事なので、詳しくは知らないのです」
「そうですか申し訳けございません」
「貴方の希望のスキルも既に取得済みですので、一番奥の水溜りに行って下さい」
「はい、それでは大変ご迷惑をお掛け致しました」
「はぁぁぁ、かなり危険な世界なんですけどね大丈夫なのかしら、、、」
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