無気力な異世界転生
成田ミサト
第1話エピローグ
ピコーン、ピコーン、ピコーン
規則正しく耳障りな機会音に私は不意に目を覚ました。そしてがっかりする。(まだ、、死なないのか、、)
ここは病院の一室、ほぼ白い壁や天井。そしてさまざまな機械類。あとは黄色の花弁の一輪挿しの花。(何て名前の花なのだろうか、、)この緩和病棟に来てから、誰かが生けてくれている。膵臓癌と診断され余命3ヶ月との事だがそろそろ寿命なのだろう。
「太田さんおはようございます!今日は良い天気ですよ」
彼女は、この緩和病棟の看護師だ若くて快活な性格だ。多分だが彼女が花を生けてくれているのだろう。(私にはもったいないのでお断りしたいのだが)
(おはようございます)しかし言葉は発せられない。一言お礼が言いたかった。指でもうごかせれば伝えたいのだが、目もあまり見えなくなっているのに耳だけは最後まで聞こえるのは私には拷問であった。
「3日間ねてたんですよ、お身体はどうですか?」
(大丈夫、、じゃないか)視線を彼女に向けて何とか笑顔を作ってみたが笑顔が出来ているのか不安になる。(それにしても最近は寝ているのか、覚醒しているのかも不安だな)
「あ!太田さん!良い笑顔ですよ!」
(そうか、笑顔が出来ていたか、良かった)
「今日はこのまま夜勤なんですよ!一緒に頑張りましょうね!」
(、、、私は何を頑張れよいのやら、困ったな)
また、私は意識が薄れていくのが分かった。
ふと目が覚めたのか、天井から白い女性が私を見て悲しげな顔をしるのが認識できた。(貴女が私を迎えに来てくれたのか?)
言葉は相変わらず発せられない。ふと思う。
(あの、看護師さんにお礼が言いたい)そう願った。コクリと白い女性は頷いた。
そして、私は心臓が止まった。
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