出発
福引で温泉旅行ペアチケットをゲットした僕と千夏。
「さぁ!行くぞぉー!」
「テンション高いなぁ」
宿泊付きのペアチケットを手にした僕たちはGWの期間を利用して二人で温泉へと向かうのだ。
目的地は名湯と名高い草津温泉である。
「当然じゃん!旅行なんて久しぶりだもん!テンションの一つや二つ容易に上がっていくよ!」
「まぁ、そうだね」
僕はハイテンションな千夏の言葉に頷く。
なんだかんだでこうして旅行に出かけるのは非常に久しぶりだ。
「……だからと言ってここまで早く出る必要はあるのかなぁ?始発で行く意味とは?」
朝早くに行こう!という千夏の圧によって早朝からの出発になっている……馬鹿眠い。
「群馬県だからね。割と近いよね」
「まぁ、そうだね……普通に関東圏だしな。だからこそ早く」
僕たちが住んでいる場所は東京である。
東京から埼玉を抜けて群馬に行くことになるが、言うて近い。
「その分いっぱい遊べるじゃん!二人でいられる時間は多い方が良いよ!」
「あぁ、うん……わかったよ。遊べる時間は多い方が良いものね。温泉街に二人で行って何をするのかという話な気もするんだけど。それでだけど忘れ物とかしていないよね?前回、出かけたときに千夏ってばパンツ忘れて右往左往していたよね?結局あの日はどうしたの?」
「ちょ、ちょっと!?デリカシーを考えてよ!?女の子に対して言うことじゃないんかなぁー?って思うんだけど?」
「幼馴染なんだし今更だよ。僕は目の前で千夏がおもらししたことだって覚えているよ?」
「ちょっと!過去をほじくり返すのは禁止!なんで蓮夜はそういう話が何もないの!?中学生くらいに中二病になって黒歴史の一つや二つ作るものじゃん!私の知っている蓮夜ってばほとんど隙なくて黒歴史になりそうなものないんだけど!」
「ふっ。僕に隙はないからね。というかむしろ中二病にかかったのは……」
「言わないでぇ!?」
僕の言葉に千夏が絶叫する。過去、ちょっと眼帯つけてみたりしていた少女が。あの頃は毎日のように千夏の謎設定を聞かされたものだ。
陰謀論も裸足で逃げ出すような意味わからない設定を。
「まぁ、この辺で許してやろう。それで?ちゃんとパンツがあるか確認した?」
「確認するまでもないよ!ちゃんとあるに決まっているじゃん!」
僕の言葉に千夏はそう断言する。
「そう?それなら行こうか」
「うん、行こ行こ」
話を切り上げた僕たちは予定していた時間の列車へと乗るために家を出るのだった。
ちなみにだけどさも当たり前のように千夏が僕の家の中にいるのはツッコんでいいことなのだろうか?僕は盛大にツッコミを入れたい気分である。
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