テスト終わり
テストが無事に終わって、返された後に。
「あぁぁぁぁぁぁぁ、負けたァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!」
「うそぉぉおおおお、赤点マンに負けたよぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!?」
「ふふん!当然の結果よ!」
「……ぶい」
僕の部屋では敗者と勝者に分かれていた。
敗北者は僕と千夏であり、勝者は春香と冬華である。
「これで今回も私の勝ち点……点数的に私が主席であることは間違えないようね」
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!なんで僕は数学であんなところを………ッ!」
春香の八科目点数が786点で、僕が785点。
数学のテストにおいて、僕が行った謎の計算ミスで二点マイナスされたことで敗北した結果と言える。
苦手な科目では春香を上回れたというのに、一番得意のはずの数学で満点を取り損ねるなんて最悪だ。
「マイナスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううう!!!」
僕はただその場で咽び泣くことしか出来ない。
本当に今回は惜しかった……今までの中で一番惜しかったのだ。その分悔しさもしつこく残る。
「……私の勝ち」
「馬鹿なッ!?この私が負けると言うのか!?」
そんな僕と春香の傍で。
僕が勉強を教えていた冬華が千夏を相手にドヤ顔を見せている。
冬華はしっかりと赤点を免れるどころか、合計点において千夏を上回っている。
ちゃんと勉強の成果が出たと言えるだろう。
「いやー、今回の私の勝ち。蓮夜じゃ私に勝つなんて無理だって言う話だね。さっさと諦めて欲しいものだ……ということで解放感で私は好きなようにゲームしようかな!」
「……私もする。勝利の美酒と共に」
今回の定期テストで勝利を収めた春香と冬華は二人で共に得意げな様子を見せる。
「「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」
そして、僕と千夏は互いに目を合わせてタイミングを計った後に二人で合わせて悔しみの声を上げるのだった。
■■■■■
テスト返しの日で通常よりも早帰りとなって家に帰ったきた僕たちが思う存分ゲームをして解散した後。
「それで?ちゃんとあった?忘れ物は」
忘れ物をしたと二つ隣の家から引き返してきた冬華を部屋へと上げた僕は彼女へと疑問の声を上げる。
「……あった」
そんな僕の言葉に冬華はこくりと静かに頷く。
彼女が部屋で忘れたというアングレカムの花栞が見つかってよかった。
「……」
「どうしたの?帰らないの?」
しっかりと忘れ物を回収した後も一切動こうとしない冬華へと僕は疑問の声を投げかける。
「……楽しかった」
それに対して冬華は言葉を一つ。
「ん?」
「……一緒に勉強して、楽しかった」
「それなら良かった」
僕は冬華の言葉を理解して笑みと共に告げる。
「……また、しようね。もっと、大きくなって……大学とかに行っても」
「あぁ、そうだね。大学受験とかも頑張らないとだねぇ」
「……ふふ」
僕の言葉に冬華が頷くと共に笑みを漏らす。
「……そう、だね。次回も、更に次も、そしてその未来でも。ずっと、私に勉強を教えて、ね?」
「うん、僕でよければ喜んで」
普段は決して笑みを浮かべることなく常に無表情である冬華が柔らかく笑みを浮かべながら告げる言葉に僕は頷くのだった。
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