定期テスト

 受けるテストは全員必須であるコミュ英、英表、現代文、現社。

 選択出来る古文、漢文、発展現代文に高校数学ⅠA・ⅡB。そして、これまた選べる物理、化学、生物に日本史、世界史、地理、経済などからだ。


 理系である僕の選択は高校数学ⅠA・ⅡBに化学だ。

 ちなみにうちの幼馴染たちも全員理系なので、僕とまったく同じ選択をしている。

 

「……」

 

 僕は配れた問題を黙々と解きながら冬華のことも考える……前の定期テストと比べたらどれも易しくなっている、かな?明確に易しくなっていると断言出来ないレベルで下がっている……が、それでも難しくなっている科目はない。

 このレベルのテストであれば一緒に勉強した冬華は問題ないだろう。


「……」


 と、なるとだ。

 僕が気にしなきゃいけないのは定期テスト首位の奪還である。

 前回、僕のテストでの総合順位は二位であり、春香との点数差もそこまではなかった……彼女に点数で勝つのだって不可能ではないだろう。


 別に僕はブサイクというわけではないし、客観的にも上の下くらいだし、マニアックではあるが、一定層からの支持はあるような美少年である。

 それでも、僕の幼馴染と比べたら月とスッポン。

 

 そんな僕が彼女たちと常に友達としているためにはそれだけの価値があるのだと周りに認めさせ、みんなにも僕と一緒にいたいと思ってもらう必要がある。

 だからこそ、常に首位を維持し続ける春香を天才として見上げるのではなく、陥落させる挑戦者であり続けなければならないのだ……僕だけは。


「……」


 時計の針の音とペンを走らせる音だけが響く教室の中で僕は定期テストに寝ることなく真面目に向き合っていく。


 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。


 僕が二週目の見直しを終えたところでちょうどチャイムが学校中に鳴り響く。


「やめ!今すぐにペンを置いて後ろから出席番号順に集めてきてください!」


 それと同時に教卓の前に立つ試験管こと先生が声を張り上げ、一番後ろの席の人がテスト用紙を集めていく。


「枚数と名前確認するからしばらく待っていてください」

 

 僕が一番の苦手とする現代文だが、今回は中々に解けたと思う。

 現代文のおいてほぼ直感で解いてくる冬華の考えに触れただろうか?手ごたえがいつもより良い。


「はい。確認終わりました。もう大丈夫です。最後のテストも引き続きがんばってください。それでは解散」

 

 これで七科目だ。

 あと残る一科目を終えれば定期テストも終わりだ……あと少し、気を抜かずに頑張らなくては。





 あとがき

 ちなみに作者は高校生活最後の定期テストで赤点を免れました。

 物理赤点回避最低点数ぴったりでした、震えました。

 

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