勉強会
冬華の部屋のテーブルで隣合って座り、共に勉強を進めていく僕たち。
「……ここ、わからない」
そんな中で物理の問題集を広げる冬華が僕への疑問の声を上げる。
「あぁ、このドップラー効果の問題ね。確か冬華ってば文系志望だよね?じゃあ、問題さえ解ければいいよね?ここは観音様とプラマイマイプラで覚えればよくて……問題としては観測者が近づくときはこの公式の符号がプラスになって……」
僕は冬華の方に身を乗り出して彼女のノートに式を書きながら説明していく。
勉強スタイルとてはこうして二人で各々勉強し、冬華にわからないことがあれば僕が説明していく感じだ。
「この問題は理論は難しいけど、ただ問題を解くだけなら公式に当てはめていくだけだからそこまで難しくないよ。定期テストで赤を取らずに進級するだけでいいなら普通に解き方を覚えちゃう方が速いかな。どう?行けそう?」
「……う、うん。わかった」
冬華は僕の疑問に対して素直に頷いてくれる。
「それなら良かった」
別に冬華は地頭が悪いわけではない。少し勉強すれば伸びていくし、こちらが少し教えるだけで理解してくれる。
というか、僕が居ないで一人でやっていても大した問題はないだろう。
「……」
僕と冬華は二人で特に会話などをすることもなく淡々と勉強を進めていく。
「「……」」
なのでこっそりとドアに耳を近づけている冬華の両親は何もしないので帰ってどうぞ。決してラブコメにはしないからな?
一応武芸を嗜む者ではあるのでそこらへん敏感なので割とすぐにわかってしまうから素直にやめて欲しい。
「……んっ、もうこんな時間か」
二人で黙々と勉強をしていれば既に時刻は夕方。日が落ち始めていた。
「流石にお腹空いたな。まだお昼も食べていないし……」
「……そうだね」
僕の言葉に冬華が頷く。
「……食べに行こ、お金あるでしょう?」
「まぁ、あるけど……親御さん的には大丈夫なの?」
「……問題ない。遅めの昼兼は早めの夕飯行く」
「んっ。それじゃあ行こうか」
僕たちはそそくさと勉強道具を片付けて立ち上がる。
「……財布ある?」
「スマホに金が入っているから大丈夫。手ぶらでいけるよ」
「……良かった」
一応幼馴染とは言え、互いに人前に出ても恥ずかしくない恰好をして……否。冬華はしっかりと今日もバッチリ決めてここに立っている。
このまま外出しても問題はない。
「それじゃあ、行こうか」
「……うん」
「あっ。というか、国語は一切勉強していないけど大丈夫?」
「……国語だけは70点。あの時も、見せてない」
「おぉ、凄いやん」
「……なんか、わかる」
「ちょっとだけわかるわ。割と問題文に書いてあることの方が多いもんな。共通テストとか私立の二次レベルとかになってくるときついけど、定期テストレベルであれば普通に読んで普通に解くだけでもいけちゃうからねぇ」
「……本読むの、大事」
「だねぇー。漫画でも読んでいるのと読んでいないのとでは雲泥の差があると思うわ」
「……うん」
僕と冬華は共にダラダラと雑談しながら部屋を出ていくのだった。
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