冬華の部屋

 僕が冬華と二人で勉強するのであれば何処に行くのか良いか。

 まず、僕の家であれば常にたまり場となってしまうので、NG。いつ春香と千夏が襲来しに来るかわからないし、二人が来たら絶対に勉強ムードではなくなる。


 学校の図書室はもっと駄目だ。

 勉強なんて出来るわけがない。阿呆みたいに集まってしまうだろう、うちの学校の生徒たちが。

 もはや、学校どころか普通の公共の施設であっても大量の人が集まってしまうことになるだろう。

 そんな中で勉強出来る場所になると……もう、そこは冬華の部屋しかないだろう。


「久しぶりに来た気がするわ」

 

 僕の家の二軒隣にある一軒家。

 五十嵐家の冬華の部屋へと足を踏み入れた僕は感想を漏らす……最後に来たのは何時だっただろうか?

 毎回あの三人が僕の家へとやってくるばかりで、僕が赴くことは基本ない。多分だけど冬華の部屋に来たのは中学の始めくらいだっただろうか。

 

 ちょっとこなかった間に中々冬華の部屋も大きく変わっている。

 女の子の部屋って感じの部屋になっている。

 昔は大したものもなかったものない簡素な空間だったのに、いつの間にかピンクのカーテンなど部屋全体がピンク色に染められており、ベッドには幾つもの人形が置かれている……あっ、これらの人形。全部僕があげたやつだな。これ。

 

「あっ、ゲーミングPCだ。結構良いやつでしょ、これ」

 

 他にもゲーミングPCとか、割と高価なものまで置かれている。

 ちなみにではあるが、僕も家も金あるし、幼馴染三人の親もしっかりと金持ちである。


「……あんま、見ないで」

 

 キョロキョロと部屋の中を見ていた僕に冬華が控えめにこれ以上見ないでと懇願し

てくる。

 確かに女の子の部屋をジロジロと見るのは駄目だったかもしれない……僕も女の子の部屋の探検にはトラウマがあるので見るのは辞めておこう。


「あぁ……ごめん。でも、ちょっと気になっちゃって。よくよく考えてみれば女の子が家に来るのは常だけど、僕が女の子に家に来ることなんてほとんどないから」


 本当に珍しいといえる僕が女の子の家に来るなど。

 ちょっとだけ興奮している……いつも感じているはずの冬華の匂いもダイレクトに感じられるし。


「……それはそう」


「だよね……春香と千夏の部屋にも今度行ってみたいな。というよりもいつも僕の部屋なの不公平じゃんか」


「……バイトしているのが悪い……いつも家に帰ってくるのが遅い」


「そりゃお仕事しているわけですから、帰りも遅くなるよ」

 

「……場所、教えてもらってない」


「教えたら入り浸ろうとするじゃん。お前ら。お前らってば目立つから……落ち着いた雰囲気を売りとしている個人運営の喫茶店との相性最悪なんだよ。教えられないかなぁ……」


 ここでおじさんの喫茶店を教えたとしよう。確実に学園三女神が喫茶店を入り浸るようになるだろう?そしたらどうなるか。

 まぁ、それは別として普通に教えるつもりはないけど。


「……むぅ」


 僕の言葉に冬華が不満げに頬をふくらませる。


「ほら、膨れるのは辞めて勉強するよ。勉強道具を広げて」

 

「……わかった」


 そして、頬を膨らませたままの冬華は僕の言葉に頷き、部屋の中心にあったテーブルで勉強道具を広げるのだった。






 あとがき

 現実世界の僕の定期テストの勉強せず、自分の創作物であるキャラが定期テストの勉強をしている……なんか草やな 

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