12/23 Sat

 昨日約束したプレゼント選びは、結局決まらなくて、今日もサヤに付き合ってもらっとる。

 ショッピングモールも覗いてみたが、あまりの混みように諦めた。お腹すいたつかれたと嘆くので、コンビニでショコラまんとロイヤルミルクティーを買ってやる。バイト代が違う意味で消費されとるなぁと考えながら、駐車場の端で小休止。

 サヤが人差し指についたチョコクリームをぺろりとなめる。


「なんかさぁ、ピンと来ないよねぇ。かわいいんだけどねぇ」


 無言で同意して、ココアを飲む。いつもなら甘いと思う味が体にしみた。頭もじんわりとする。眠くなってきた。もう少し働いてくれ、頼むから。

 あ!と声を上げたサヤは飛ぶように立ち上がった。


「コロコロ買ってきてって言われとったやん。お兄ちゃん、ホームセンター行こう」


 母さんが言ってたっけ。コロコロする替えがない、と。何なんだろ、アイツの名前。

 ちょうどよく冷めたココアを飲み、やっぱり甘いと自覚する。

 いつの間にか食べ終えていたサヤが自転車に股がった。いっくよーという声にひっぱられるように、ホームセンターに向かう。



 入り口には三段重ねの雪だるまがいた。本物ではなく、バルーンでできた愉快な感じの二体の間を通りすぎる。

 胸の高さまである木にクリスマスの飾りつけがしてあったり、シクラメンやポインセチアがぽつぽつと並んでいる。積み上げられた煉瓦に、肥料の山、細々と輝くイルミネーション。ショッピングモールの派手な飾りつけを見た後なので、よけいに寂しく見えた。

 植木鉢とか、いらんかな、とそちらに向かっていると背中から声がする。


「お兄ちゃーん! 買ってくるねぇ」


 後ろ手に手を振って見送る。

 プラスチックに陶器、素焼きの植木鉢。大小さまざまだけど、全くクリスマスプレゼントっぽくない。何より荷物になりそうだと却下する。

 花の種……いらんやろ。かわいらしいジョウロ……こんなのでちまちまやってたら日が暮れそう。

 なぜここに、亀が飼育されている。冬眠しないのか。砂利とかエサとか流し見して、瞬きした。

 これ、夏海が喜びそう。


「あぁー! こんな所におった!! ちょっとふらふらしないでよ」


 きーきーと帰ってきたサヤが俺の手元を見て、目を丸くした。口元をにんまりとして、アリだねと判定をくだす。

 手元を見ていた視線をカウンターに移した。あまり、期待できないと顔に出ていたのだろう。

 しょーがないなぁと言いながら、サヤが胸をはる。


「ラッピングはサヤちゃんがやってあげましょう」


 労働には見合ったお高いアイスを買ってやった。




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