12/21 Thu

「ないないない、それはない!」


 クリスマスプレゼント決めたの?から始まり、花瓶にするかもと答えたら、全力で否定された。さやに。


「ねぇ、お兄ちゃん。わかってる? 相手は花屋の娘だよ? ぜぇったい、家にたくさん花瓶があるけぇ。ちょっとオシャレだからって言ってもいらんよ。しかもさ、花瓶ってドコにあるの。雑貨屋? ホームセンター? 陶芸家? ネットとか今から間に合わないでしょ? デパートとかならあるかもしれんけど、デパートの包装紙に包まれたのあげるの? それお歳暮と間違えてない? ないわぁ」


 さやのマシンガントークなんて聞きなれているはずなのに、さすがにキいた。

 俺の顔を見たさやが罰の悪そうな顔をする。


「お兄ちゃんなりに一生懸命、考えたのはわかるけど、花瓶はおすすめしません」


 今更だが、簡潔に言い直してくれた。

 振り出しに戻ってさやも真剣に悩み始める。


「アクセサリーとかは?」

「夏海に気を使わないでって言われた」

「ああ、ひなちゃん言いそぉ。じゃあ、かわいめの文房具とか?」

「それ、数百円で終わらん?」


 だよねぇとさやは諦めかけている。じっと見つめると小首を傾げてごまかしてきた。


「明日、終業式だし。付き合うよ、買い物」

「便りにならん」

「ええー! 今度は真面目に選ぶよぉ!」


 前のは真面目じゃなかったんか。

 不満が顔に出ていたらしい。

 さやはアハハハハと片言に笑った。



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