12/15 Fri

 どうしたもんかと、教室にたどり着くと颯真に連行された。ヤツのではなく、隣のクラスに。


「アッラタぁ! メグがおかしいぃ」

「いつもだね」


 読んでいる本から顔も上げずに新太あらたは言ってのけた。

 失礼な、と呟いたのに誰も申し訳なさそうにしない。失礼極まりないな。

 ページをめくるついでに新太が口を開く。


「穂高は」

「砂糖吐きそうじゃけぇ、 任せたって」


 穂高からの伝言を颯真が言うと鼻で笑われる。


「見放されたのわけね」

「オレもよぉわからんけど」


 お前ら、と可哀そうなものを見る目を向けられた。

 颯真と同類なのか。やめてくれ。

 頬杖をついた新太が目をすがめる。


「穂高が投げ出すぐらいだから、面倒くさいことこの上ないんだろ」

「面倒くさいなら、ほっといて」


 案の定、俺の言葉は無視される。


「明日の一時、恵の家に集合。以上、解散」


 りょーかいと楽しそうに応えた颯真にまた引きづられる。

 ずるずるずるずる。

 夏海の姿が見えて、颯真の腕を無理矢理はがした。服をなおしながら、文句を言ってやる。


「服がのびる」

「逃げるなよぉ」


 手を頭の後ろに組んだ颯真はケタケタと笑った。

 たまっていた息を吐き出して、むかつく顔を冷めた目で見る。


「逃がす気ないだろ」

「親友の一大事だからな」

「わかってないくせに」

「困ったときはお互い様だろ」


 話が噛み合ってない。絶対、面白がってるだろ。

 夏海が不思議そうな顔で見てくるので、ぽかりと背中を殴るだけですませてやった。









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