12/09 Sat

 やっとインフルエンザから解放された。学校はないけど……学校はないけど。


「お兄ちゃん、何処か行くの?」

「アイスクリームは買わない」


 サヤを睨み付ける。元はと言えば、こいつがもらってきた病気が俺にも降りかかったんだ。今は恨みしかない。

 夏海に九日も会えないんだぞ。


「まぁまぁまぁまぁ、いいものあげるからさぁ」

「期待できん」

「じゃーん! 雑貨屋さんの割引クーポンでーす!」


 確かに、つき出された携帯の画面には『500円クーポン』という文字が書かれている。


「お兄ちゃんさぁ、寝言でひなちゃんにプレゼント、クリスマスプレゼントうんうんと唸ってたよ」

「部屋に勝手に入るなよ」

「しようがないじゃん。インフルになったの私だけで、お兄ちゃんの世話できる人いなかったんだし」


 黙りこくると、つまんない顔してるぅとケタケタと笑われた。こっちは全く面白くない。


「今なら、私からのアドバイス付きでーす」

「不安しかない」

「まぁまぁまぁまぁ。ささ、レッツゴー!」


 案の定、妹は自分がかわいいと思うものを勧めてくるばかりで、役に立たなかった。



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