第2話 ほうれん草

「ほうれん草のさ、根っこに近いとこあるじゃん

「ピンク色してるやつな

「あそこ、甘くてうまいじゃん

「確かに

「でさ、気になったわけよ。あそこって名前無いのかと

「ほうれん草の根っこに近いとこ、じゃね?

「それは名前じゃなくて説明だろ!お前のことを鈴木家の長男って呼ぶか?

「呼ばんなぁ


「肉にはさ、カイノミとかシャトーブリアンとか仰々しい名前があるのに、可愛そうじゃね?

「可愛そうじゃなくてほうれん草だけどな

「そういうのいらねぇんだわー。でさ、何でだと思う?

「……その部分だけ切り取って売ったりしないからじゃね?

「……合点がいったわ。お前天才か?

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