4、エリア

帰り道、坂道を下りコンビニに寄った。

風はまだ肌寒いが日光が照ると今からの上り坂はすこし汗が滲むくらい暑いからアイスを買った。

コンビニを出てすぐ目に入ったのは僕と同じ制服のカップルと思われる男女2人。

ネクタイとリボンが緑色だから2年生だ。

女の先輩が男の腕をとって楽しそうに話しながら歩いていた。

(僕も、いつか…)

そう思い高校生活を頑張ろうと決意した。


「よーし!とりあえず道也に負けないようにMSWのこと勉強するぞ!」


そう言って僕は坂道へ向かって歩き出した。


***


「ただいまー」


誰もいない家でも一応言う。

そしてすぐに部屋へ向かった。

そのまま布団にダイブする。


「はぁ、どうして僕だけパートナーが生まれなかったんだろ。」


今日のことを思い出して落ち込む。

他のクラスメイトはパートナーが生まれて、道也と橘さんは職業持ちで。


「道也のパートナーカッコよかったな。いかにも戦士って感じで。2頭身だけど鎧着てたからカッコ可愛いって感じかな。。。」


考えても仕方ないと思い、ベットから立ち上がり勉強机に向かって歩いた。すると一瞬目の前が明るくなり何が起こったのがわからなかった。

目を開くと、そこはMEの中で勉強机の上には卵があった。


「なんで…」


すると、卵が揺れ出しひびが入った。

バキバキ音をたて卵が割れた。

みんなのモンスターが生まれた時と同じように


ポン!


と音を立てモンスターが生まれた。

そこにはシベリアンハスキー?いや狼の赤ちゃんみたいなモンスターがいた。


「これが僕のモンスター…」

「…バフ!」


…バフ?もしかして鳴き声なのだろうか?

でもMSWのモンスターにはそんな機能なかったような気がするのだが…。


「ま、いっか。」


とりあえず現状の整理をしよう。

僕が机に近づくとMEが展開し、机の上に卵が現れた。

そしてその卵が孵化し、モンスターが生まれた。


「もしかして…」


僕は机から離れる。

するとMEの外に出てしまった。


「やっぱりそうか。」


僕の家は学校のすぐ隣。

そして僕の部屋は一番学校に近い。

MEの範囲が僕の部屋の一部まで展開している。


「ってことは…、モンスターの操作練習とかみんなより長くできる!?」


これは姉さんや先生たちにばれると範囲が縮小されそうだからとりあえず道也だけに話すことにしよう。

考え事をしているとモンスターが寄ってきた。


「呼び名が無いと不便かな?」


姉さんが言ってたような気がする。

学校内ではみんなモンスターに名前を付けていると。


「そうだなぁ…」


シベリアンハスキー、狼…

たしか北欧神話に出てくる狼がフェンリルって名前だったよな。


「決めた!君の名前はフェンリだ!よろしくな!フェンリ!」


まさかMEのエリア範囲が僕の部屋の一部に入ってるなんて予想もしなかったがこれはすごくうれしいことだ!

理事長がいってたように勉強にも励むけどたまにはバカ騒ぎとかしたいよね!

そう思い僕はフェンリと共に頑張っていくことを決意した。

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