第2話 俺、バンドが組みてぇ

俺は今日もPCで曲を作る。だが、気持ちが乗らない。

ロックがやりたい。そんな気持ちが、日増しに増大していく。

最悪な気分をやり過ごすために、動画サイトで、好きなバンドのライブ映像を見まくる。

…だめだ。逆効果だ。余計にやりたくなってしまう。嗚呼。

「バンドが組みてぇ‼」

そう叫ぶ。叫んだ声は瞬間、地面に落ちて消えていった。

本当はもう解ってるんだろ?自分が本当にやりたいことが。

ロックだ。バンドだ。

でもダメだ、俺ひきこもりだし、バンドはおろか、ステージに立つなんてとてもとても…

自問自答を繰り返している内に、夕方になった。その時、玄関のチャイムが鳴る。

玄関を開くと、そこには旧友の、「宮田士郎」が立っていた。

「よう、久しぶり。秀太。」

「なんだ?宮田。なんの用だ?」

「秀太、ライブハウスだ。今からライブ見に行くぞ‼」

「はぁ?」

「ツレが突然デートとかでバックレやがってよー、俺一人じゃなんだし、見に行こうぜ。」

「いや、突然すぎるだろ。それに俺、ライブハウスとか行ったことないし。」

「ははは、お前、カラオケもまだだもんな。」

「うるせぇよ。」

「いいから早く行くぞ!」

「…」

ライブ、か。見れば、バンドへの未練が切れるかも…?

「あーわかった、いいよ。」

「よし来た、行くぜ!」

俺はバッグに密かに、「ブツ」を忍ばせ、宮田と共に家から出た。

バスに乗り、駅前へ。ビルの横を抜けると、そこにライブハウス、

「FOOLISH」(フーリッシュ)はあった。

存在は知っていたが、間近まで来るのは初めてだ…

「よーし、行くぞ。」

と。強烈な煙草の匂いが俺の鼻を貫いた。

「くせぇか?はは、すぐ慣れるよ。」

宮田が入口を開ける。俺は後をついていく。

「目当てのバンドは?」

「唐突段ボールっす。」

なにやら宮田が受付の女性と会話した後、チケットを手渡される。

「ほい、これドリンクのチケット。中入ったら酒でももらえよ。」

いよいよだ…目前の扉を開ける。そこには…

突如、なんだかアダルチック(?)な照明が会場全体を照らす。

そしてなにより、ステージ左右のどでかいスピーカー。

BGMとして聴こえる音、なんつー迫力のある音だ、低域の出がすげぇ!

と、ひとり感動していると、宮田がドリンク片手にやってきた。

「なに、お前ドリンクもらってこいよ。」

「いや、なんか怖くて行けない。」

「アホか。喉カラカラんなるぞ。」

「ああ、俺はいい。」

「あっそ。そろそろ始まんぞ。」

と。BGMが止み、ステージが照らされる。

突如として、男女二人組の曲が開始される。リバーブの効いた、アコースティックサウンド。

ああ、これが、ライブか。

「こんばんは、YOSAKOIです。」

曲の後、噂に聞く、「MC」というやつを聞く。

続けて二曲ほどやった後、「YOSAKOI」ははけていった。再びBGMが鳴る。

「俺の目当ては次の次のバンド。」

「ふーん。」

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