第25話 それは無垢たる混沌



世界が産まれた時、創造神は雛形たる意志を産み出した、それは無垢たる混沌。


獣たる意志。



あらゆる時代。

あらゆる英雄。

選ばれし者の聖痕として刻まれる力



「それでこの世界か」


精神干渉だが物理干渉だがわからないが、黒い夜空のような空間にセラはいる。


「そうだにゃー」


目の前の黒猫はかたる。


「君は?」


「さあなにものにもならない獣、人は深淵というにゃー」



気の抜けた声で語る猫にふむとうなづく。


「本来の姿は?」


「いずれ、知るにゃー」


セラはため息をついて椅子を創造し机をつくると座る。


「さすがは創造神に選ばれた魂」


「案外わかるようだね」


「私もまた創造神に造られた存在にゃー」



「ふむ、言うなれば一応兄弟にはなるのか?肉体はセイクリッドさんには造られたし」


「精神は地球のものだけどにゃー」


猫、深淵はにこにこ笑う



「なるほど、じゃあ声的には女の子だから。姉ということかな?」


「あら、うれしいにゃー」


「それで姉さん。僕に与えたのはなんだい?」


セラの言葉に深淵はにこやかに笑う




「ふむ、深淵に選ばれたか、セラくんは」


セイクリッドは診察所で珈琲をのみながらうなづく。


「私が産み出した混沌、姉として認め関わるならばよき混沌を産み出すだろう」


タバコに火をつけながら


「私もここでの引き継ぎをして次に向かうか」



そうして空をみた。



「うーん、つまらんな」


黒装束の男達を屠り、ため息をつく男、赤いレザージャケットに、黒のレザージーンズ、金色の髪をオールバックにし端正な顔をした紅い瞳の男はため息をつく。


「悪徳の都ゾディアック、傲慢な俺に相応しい場所かと思ったが、弱者を痛めつけるだけの愚かな者たちではないか」


ボロボロになっている少女と少年をみてにこりと笑う。


「父は俺に傲慢たる使命をあたえ、ヒトとして誇りある生き方をしろと言ったが、この雑魚達より少年よ、君たちのほうが美しい」


男は笑う


「俺は傲慢の「ジョセフ」しがない旅人だ」


少年少女はただその男の顔をみていた



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