第21話 終わり
父は語った。
「グラトニー、君を含めて罪の力を与えた使徒の兄妹達はそれぞれ使命を与えている、無論必ずその使命を叶える必要はないが、君が人間として過ごしその罪の力に沿うよう扱うのであれば乳としては嬉しい」
その発言を脳裏に浮かべながらグラトニーは目の前の赤い軍服達をみる。
「1ヶ月、ただ1ヶ月だけこの国に滞在した、それだけで悲しみをみた」
グラトニーはただ話を続ける。
「力の有無だけで弱き子は虐げられ力なき者がいなくなる」
赤い軍服の男達はスラムの入口で身体を硬直させる。
グラトニーの使命は満たすこととそして
「…喰らうもの、奪うならば俺が奪おう」
大鎌を生み出し構える。
「ああ…神よ」
老婆は祈った美しき黒いコートの男に家族をうばわれ、世界を壊され下層に落ちていったもう人間らしき世界には戻れないとしった。
だが1ヶ月前に現れた青年は見返りを求めるでもなく衣食住を整えてくれた。
生きててよいと言われた気分だった。
「グラ兄」
少女達は無表情の青年にかつて知っていた家族の情景をみた。柔らかな食事、あたたかな世界。当たり前で届かなかったあの世界を
「革命か」
かつて神への祈りを捨てた神父はその青年に新たな祈りを見た、信仰をすてたとして、弱き者を護ることは諦めなかった神父は、自ら再び立つことにした。
目の前の赤い軍服達を切り払い。
「リアス…人ならば向かうだろう?」
「そうだな、人ならば」
「なら俺はこの国に敵対しあらゆる感情を受け取ろう」
グラトニーはそういうと共に六芒星の魔法陣を生み出す。
「…魔界の者共よ、この国を喰らえ!!俺が許す!」
上層区
皇帝の謁見室。
質素な黒い軍服を来た白髪の男がため息をつく。
「この国に転生し120年、まあこの国政となれば滅びるのも仕方ないな」
目の前の青年に眼をむける。
「異界へのアクセスか、なかなか高度な術式をするな、魔界の最下層の奴らか、まあ国民に手出ししてないのは助かるな」
疲れたような顔でにこりと笑う
「個人の武では国の歪みはとれなかったようだ、後は頼むぞ、若者よ」
その日この大陸の半分を支配した帝国はとある青年に滅ぼされ新たな国となった。
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