第14話 創造神は思案する
第14話
「時間軸は思いの外ずれるようだな」
白衣の男、セラに名をつけられた創造神セイクレッドはふむと頷く。
「邪神の悪戯のせいか、時空間が少しばかりずれたか、修復は容易いが30年ほど時間がかかるか、少しばかり魔王種が増えすぎた、そして魔獣やモンスターも些か劣勢になる可能性がある、まあ分体を降ろして下界を楽しんでいる神もいるからまだ問題はないだろうが」
セイクレッドはふむと呟く
「セラ君は導き手ではあるが、使徒としては送ってはいない、むしろ自由に過ごしてもらった方が今後発展すると考えるなら望ましい」
セイクレッドはふふと笑う
「神も人も感情があり、予測できない物事にも遭遇するか、それもまた面白い」
セイクレッドは片手を白い空間にかざす。
「なれば調停たる使徒を創造しよう、そうだね、新たな力を試してみようか」
目の前に現れたのは白い髪の少女、雪のような白い肌に桃色の瞳、美しい白い着物に美しい白い鞘に収まった刀を持っている。年齢は17歳ほどだろうか?165センチほどの身長で静かな雰囲気を持っている。
「キミは今日から私の娘で世界を調停する使徒だ、私に新たに発現した罪の力を渡そう、どうやら地球の罪にが関わる力らしいね、まあ生まれたてのキミには有益な力だろう」
「ありがとうございます、お父様」
セイクレッドはにこやかに微笑む
「なんとなく時代劇というものを地球の神に勧められて見てみたがなかなかよくてね、その主人公を模した女剣士をイメージしてみたが、実に美しい、そうだね、キミの名は初雪にしよう、美しい雪のように心根を正して生きていけるように」
「素敵な名前頂戴しますわ、でも渡された力は「強欲」ですけどね」
初雪と名付けられた少女はにこりと笑う
「強欲というのは生存欲求として正しいからいいじゃないか、父としての娘への愛情だよ、それに創造神の使徒が罪の力を扱うというのも面白いじゃないか」
「そうね、罪だからこその力…面白いわ」
初雪はにこやかに笑う
「さて、初雪、君のこれからの任務を伝えよう」
「はい」
セイクレッドはにこやかに笑う
「まあ魔獣やモンスターがいる場所が氾濫していたら、殲滅してくれればいいよ、そうだね、なんなら冒険者として名をあげたりもしたらいい」
「それだと任務というよりどちらかというと生活なのでは?」
初雪の怪訝な顔にセイクレッドは笑う
「使徒として創造したからね、形式ばかりの任務くらいは出しただけさ、娘には娘なりの人生を過ごしてほしいからね、そうだなあ、恋とか家庭をつくったりもしたら、報告してほしいかな、姿を変えて父親として会いにいくよ」
「旦那様はびっくりしそう」
「私は基本的に神のまま生まれたからね、人間という生活は見るだけだから、過ごしたことはないんだ、最近になって邪神も滅ぼしたし、使徒を創る余裕もできたからね、そろそろ分体もおろせるかなあ」
「あら、ならばお父様が世界解決したら?」
「それをしちゃうと、世界が成長する機会を逃すだろう?それに創り出したとはいえ、世界は生きてる彼らのものだよ、降りたりはするが、手を貸しても、解決まではしないな」
セイクレッドは肩をすくめる。
「あら優しい」
「心があり生活するならばそれは大事なことだからね、理不尽なことがあるならば、サポートはするが、試練は乗り越えるのも大事さ、今回はイレギュラーがあったが、まあ初雪を創造できたからね」
初雪はにこりと笑う。
「私も生まれて嬉しい」
「それは良かった」
セイクレッドはまたにこやかに笑うと初雪の頭を撫でる。
「初雪、セカイを見せておくれ、そして存分に楽しみなさい」
「わかったわ、お父様、私、沢山恋もするし、見て聞いてご飯も食べたり生活してお父様にお話するわ」
セイクレッドはまたにこやかに笑うと
「いっておいで」
「はい!」
初雪はそう言うと姿が消えた
「さて、初雪の弟や妹も創ろうか」
セイクレッドはまたにこやかに笑った。
「…姉ちゃんどっから現れた」
重厚な声に茶色いハット、細身の体にダブルの焦げ茶色のスーツ、20代後半とみられる190センチほどの男、どこか映画にでも出そうな渋い雰囲気。煙草に火を付けながら目の前の初雪を見る。
木目調の机に、資料が載せられ、雑多に載せられた本、テーブルとソファーが置かれ、奥にキッチンがみえる、内装は黒1色で目の前の男とマッチしている。
「その神気、創造神と似ているな」
男は煙草の煙を吐き出すと
「生まれたてか、創造神がはじめて使徒をつくったみたいだな」
男はため息をつくと
「…俺はマードック=エドウィン、自営業の探偵で…」
男はにやりと笑うと
「創造神にはじめて任命されたはじまりの勇者だ、よろしく」
自らの魔力を発現した。
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