第9話 結局考えなしの行動で割にくうやつがいる



「さて、シルビアさんが色々としたはいいけども」


シルビア達は宴のあとに用事があるといって、そのままどこかへいった。少なくとも前世ではスーパーの夜勤店員という存在であったので、正直町や国を運営するような知識はないが…、とりあえずミラドゥークをけしかけて、国を滅ぼした一因は自分にもあるわけで。


「まあ街作りシュミレーションとでも思えばいいか」


幸いダンジョン作成能力という力があるわけで、放置するというのも違うと思うし、本来は鍛冶師としても生活をしようと思うのだし、一応この領域は自由に使っていいとも言われているので、とりあえず生活出来る領域へと誘うのも問題ないか、DPも殺さずとも領域内で生活する分には生命活動をしていれば蓄積されるらしいし。


最初に転生した場所が高レベルな魔獣やモンスター達がいて倒す度に潤沢なDPを得ることが出来たし。


ダンジョンステータスとしては


セナ=ムトウ


ダンジョンマスターレベル20


ダンジョン傾向


鍛冶師として主に活動していることから武具に適正を持つ高レベルな鉱石が産出される傾向が強く、上位世界からの転生者のため、この世界においてオーパーツと思われる魔道具も発掘される。高レベルの竜種、知能ある魔獣やモンスターも現れやすく一度確認されれば多くの富を求める者も現れるだろう。悪魔達や神、天使達にも1目置かれるため、彼らの加護が与えられている。


ダンジョンマスターの性質。


混沌・善


この者に触れるべからず混沌たる王の器、認めし者には祝福を敵対者には呪いを


保有DP350万



「…なんでこんな説明表示なのかはわからないけど、まあこの国を立て直すには問題ないか、DPもまあ足りなくなったら考えればいい、計算は得意じゃないからね」



この国を見ると、スラムの地域が多く、冒険者ギルドも国により活動を抑えられていたようで、多くの市民が危機にさらされていた。重税をかし国の貴族達が富む仕組みになっていたが、ミラドゥークが王を討ち取った時点でその貴族達はセラの配下である悪魔達に全員討ち取られていた。


絶対君主制というものは馴染みがないし、政治形態はまったくわからないので、とりあえず竜王達の中で人間として国を治めてるライシュに尋ねてみたところ、有識者の合議制という話だ。昔の友人に民主主義という考えを聞いてよかったんだが、知識や読み書きが充実していなく。


次の案として部下達の隊長格同士を選ばせ、何人かに絞りその選ばれた人間と話し合いをして運営していくという話だ。


色々穴はありそうだが、こちらの場合は民への投票をしてリーダーを決めるという方がいいかもしれないな、まあ色々な草案は後日決めるとして、今は王と貴族がいなくなり歓喜に満ちてはいるが、国の運営やこれからどうなるかという事で不安があるだろうが。


まあこちらはなんだかんだ竜王なんだゴリ押しで最初は行かせてもらおうか。



セラはにこやかに笑うと背伸びをして玉間から出た。


「ミラドゥークは炊き出しか」


城を出て笑顔を出しながら広場で狩った魔獣の肉を捌いて老若男女問わずに料理を振る舞う姿に笑みを浮かべる。


「アルテラさんやセバスにも色々習ってたからなあ」


この国の騎士達も手伝う姿を見ながら頷く、この国の騎士達は極めて善良で反乱を考えていたそうだ。それに伴い冒険者達も戦いの準備をしていたらしく、そのタイミングでミラドゥークとセラが現れ、この国を救ったということだ。


最初こそ警戒はされたが王を討った少年の縁者と認識され今はきちんと対応されている


「子ども達が笑えない国はよくないからね」


セラはそう呟くと手をかざした。


「ダンジョン地形把握するよ、NAVIちゃん、DPはいくらでも使って構わない、君好みの街にしてくれないか?」


「OK!マスター!最高にCOOLな街にしてあげるわよ!」



金髪の褐色のギャルみたいな現代で言うとこの女子高生服に似た格好をした妖精がにこやかに笑った。


「ダンジョン説明でいきなりこんな格好をした妖精さんが出た時はびっくりしたけど、楽しいもんだねえ」


「へへ、マスターの世界の技術とか格好とかいいのいっぱいあるからねえ、ナビゲーターで受肉する時はまわりがびっくりする姿が欲しかったし、性別として精神は女性だったからねえ」


NAVIと呼ばれたダンジョンをナビゲートするらしき妖精はにこにこと笑う。


「あと、マスター、小さい姿もいいけど、おっきくなっていい?」


「ああ、小さいよりは人間レベルの身長のほうが今は色々としやすいだろうからね」



セラの言葉ににっこりと笑うとNAVIは姿を大きくさせると、


「じゃ!マスターせっかくだから全部のDP使ってつくるね!」


「ああ、DPはすぐ取りにいくから、してもらっていいかな?」


セラはにこやかに言うと、NAVIも笑いながら指を空に向けた。


「じゃあ現代の都会チックにしちゃうぞ!」



この瞬間、この土地は奇跡の街と呼ばれあらゆる無法者や様々な民族や種族が集まる中立地帯が生まれることになる。



原初の竜の領域、竜王達が集う場所。荒くれ者が集まり、子ども達が飢えずに住む場所、多種の神が集い信仰を許された場所。


この地で発生した奇跡を称えて多くの事が言われた中でもっとも言われたのは。


若き竜王の治める地ということであろう。


彼はダンジョンを操るダンジョンマスターと同時に凄腕の鍛冶師であり、自らも卓越した魔法と剣を操る。


彼の産み出す武具は芸術に至る物で、彼の工房のマークには竜と双刀の剣を交差されている。


彼の全力の一振を与えられたのは彼の弟弟子であるミラドゥーク、彼は14才の若き身ながら悪辣たるミセリア王を討ちとった英雄である。


冒険者ギルドに所属すると同時にめきめきと才覚を高め、今はBランクに上がっている。


兄弟子である竜王セラに至っては自身を鍛冶師として名乗っており、鍛冶師ギルドにも所属はしてないが、いずれもランクオーバーの実力もあると思われる。


彼は竜の中でもっとも若く優しき竜王であり、彼を慕う者達も多い。


この国が滅び新たな道に向かうならばこの大地はよくなるだろう。


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