第7話 現実世界へ帰ろう(2)
あぁ、なるほど。マリィが言った。それぞれ思い出すこと。
俺は選択肢を広げ過ぎずに、一つの道を進んでいく勇気だ。
それは
一方で、
看護師として働く自分を見失い、俺との再会で忘れていた愛憎が出ているのだ。
かつての俺の
「キョウ、もう少しでゴールが見えてきているじゃろう。自分の弱さ、捨てたかった性格、そしてお主の選んだ本当の強さじゃ」
「うわ、雪玉モドキ!」
「わらわの
「やはり、小さい奴も怪異の類だったのか。これをどうするんだ」
「ユウキに投げつけてやれ。大丈夫じゃ。雪合戦で雪玉を投げるのと大差ないことよ」
「それが
「そうじゃ。こじらせた憎しみを真っ直ぐな愛に戻す方法じゃ」
虫よけスプレーのお返しじゃないけど。
ケラケラと笑ったまま、ずっと突っ立っている
あぁ、これも正気じゃない選択だ。
何故なら、彼女が封じていた嫌な過去を思い出させるわけだ。
彼女の身体に当たり、白い煙が吹き出した。
彼女は驚いた目で、俺を見つめている。
白く甘い煙は、思い出した俺には何も作用しなかった。
「
「戻るんじゃない。つらかった過去を受け入れるだけだ」
「私、白い布で固まった心を見つめるのは怖い」
「
「……うん、
言葉では理解できている
負の感情が流れた。
俺の
そんなエゴイズムを見せられても、彼女の弱さを俺は受け入れたい。
恐怖心から解かれて、倒れてきた彼女の身体を、俺は両腕で抱きしめた。
過去の清算が終わる。怪異な遊びだった。
マリィは2つの石を俺に手渡して、お別れの言葉を口にした。
「
「7つの石は足りない俺たちの命が世界に
「そうじゃ。どうした不服か」
「いいや、俺たちの命を助けてくれてありがとう」
「弱っちいお主は、昔から察しがいいのう。半端に情が残ると、この世界に魂が取り残されるぞい。さっさと駅前まで振り返らず行くがよい」
「これで本当にお別れだ。マリィ、元気でな」
7つの石が入った緑のリュックサックを、俺はマリィへ返した。
もう背負うのは、俺の大切な人、
心身共に疲れた。俺の頭は、何も考えられない。
また例の眠気だ。
俺は駅舎の壁に向けて
iPhoneの表示は、8月32日(金)17時過ぎだった――
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