第3話 魔女の森入り(3)
山の天気が急変する。
白い
呆けていた俺の頭に直撃した。
その雪玉モドキは、俺に当たると破裂して白い煙を上げた。
甘ったるいバニラ香水みたいな匂い。
煙を吸い過ぎたせいで、俺には幻が見えた。
白い煙の中、サッカーの試合で決定的なミスをした瞬間が見えた。
イエローカードの累積で俺は退場し、チームは連敗した時だ。
煙の中で景色が切り替わる。
バンドメンバーと、歌詞と音そのもので売り方を
売れもしないバンドの曲に、俺が余計な歌詞の注文を付けて、複雑な問題になった。
もういいや。人生終了で。
意識が
雪玉モドキに、そんなもので効くのかよ。
「殺すんじゃないよ。虫は追っ払うんだよ。森へ帰りな!」
俺に向けて、
白い霧同士がぶつかり合い、消えていく。
ただの虫よけスプレーじゃないな。
白い雪玉モドキの煙は全て消えた。
仕事の出来る女性の顔を
俺は一度だけ、お礼をした。
「
「匂いが消えたらなんもだ。助かった、ありがとうよ」
「え、何、ありがと……うれしい。もう一回言って」
「やだ。もう言わない」
「
「聞こえていたなら、何回も頼むな!」
また子供返りだ。
お互いに
その時、視線の先に光る石が見えた。
俺は手を伸ばして、その石を
「白い宝石か。えーと、文字つき」
「え、見せて、見せて」
「勤勉」
「ディリジェンス」
おそらく、この石は例の小さい雪玉の怪異を倒したら、手に入ったのだ。
もしかして。
なんと、石ころが3つ入っていた。
黄色の宝石は、
赤が、
黒は、
作詞の経験が少しある俺は、4つの石ころの文字に感想があった。
それを聞いて、
「何だか
「
「顔は至って真面目だろうに。いや、話も真面目だぞ」
「例えだよ。例えだにゃあ」
石ころをリュックの中へ戻した。
ゴンドラを使って、俺たちは山を下りる。
今度は、
助席の俺は、ドライブが快適に感じた。
「
「とりあえず……腹減った。駅に戻ろうか」
「あはは、了解」
俺の腹が鳴った。
緊張感が少し解けるとこれだ。
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