第24話 七不思議のない学校 亥
夏休みが終わった。
今年の夏休みは物凄く楽しかった。今までそんなに遊ばなかったし、なんというかいい経験もできた。
怖い体験も沢山とまでは行かないがまぁできた。
夏休みも終わり入道雲が大きく出ていた日。僕らは七不思議を完成させようとしていた。
幽霊や魑魅魍魎を外から呼ぶことができない代わりに今いる霊や魑魅魍魎は外に出ることが出来ない。
この仕組みを使う。
今居る霊や魑魅魍魎をもっと強くすればいい話だ。
だからと言って今いる霊を怨霊にするのは人として気が引ける。
僕らは悩みに悩んだ。
五つの七不思議は赤間がみんなに話していたらしく学校中に広まり興味のある男子や女子が噂を話していた。そして再来週は文化祭があるという時に事件は起こった。
僕らはいつものように窓際の席でお昼ご飯を食べていた。
赤間が言う。「それでどうやって結界を解くんだ?」
「どうすればいんだろう。それか七不思議の7つ目は知ってしまうと…とかにするのはどうかな?」雨宮が捻り出した答えを返す。
赤間が唸りながら「まだ5つ目しか考えてないからもうひとつは必須だよな」なんていう。
2人で話をしている隣で僕は関田にお祭りの金魚はどう育てればいいかを質問していた。
「金魚の水槽に水草とか入れた方がいいかな」
僕が聞くと関田は「水草は雨宮が詳しいと思うけど(ギィィヤャァァァアアアア
急ブレーキの音のような悲鳴が上の教室などから僕らを包み込むと同時に僕らの目には副担任が落下する姿がコマ送りになって見えた。
「な…なんだ…よ今の…」赤間が声を漏らす。
鈍い音が下からこだました。
阿鼻叫喚。すぐに先生たちが来たが、その場で嘔吐する人や気絶する人、半狂乱になる先生まで居た。
僕らは一言も発せなかった。すぐに家に帰された。
次の日学校も休校となった。
二日が経ち学校に行く。誰も喋らない。ただ時間だけが僕らの間を通り過ぎる。
結構、体育館にみんなで集まり何があったかを校長先生からみんなに伝えられる。
そこで僕らはちゃんと副担の死を実感した。
もしかしたら受け止めていなかったかもしれない。
そんな矢先、2年の先輩が「副担が飛び降りている瞬間をまた見た」と言い出した。
そう言い出したことを皮切りにみんなが見ただとか言い出した。
僕らの考えた5つの話と七不思議の7つ目を知ると…と言う話。そして副担の話。
とうとうこの学校に七不思議が出来てしまった。僕らは副担の死が想定外だった。七不思議なんて言っている場合じゃないだろうと疲れていたが、先輩などが僕らの作った七不思議に拍車をかけ、広めてしまったことも相まって学校はオカルトブームが来てしまった。
「副担は七不思議なんかじゃねぇ」という赤間を他所に男子は七不思議を面白がり、女子は怖がっていた。
中には怖がる男子もいたし、面白がる女子もいた。
ある日を境に罪悪感と哀憐が僕らを襲うことなど知らずに副担任の死をただひたすらに悲しんでいた。
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