第21話 七不思議のない学校 申
もうすぐ夏休みという日のとある放課後、僕らは副担を呼び出した。
「前の校長先生の居場所を教えてください」そう赤間が言う。
教えないと言われた僕らは御守りと引き換えだと言ったが「首から提げたお守りを返す」といい、「これ以上追求するな、分かったな」と職員室に帰っていった。
その日は運良く校長先生に栽培した胡蝶蘭を渡す用事があったので、そのついでに前の校長の名前を見ることにした。
優しげな顔の下に黒杉 秀人の文字が書いてあった。
その日、副担にあったが「好奇心や興味は時に役立ち、時に自らを滅ぼす」と言っていたが、僕らは馬の耳に念仏という感じで、聞いてなかった。
その日の放課後、顔写真の下にそう書いてあった名前をネットで検索することにした。
黒杉秀人 検索
ヒットなし
黒杉秀人 校長 検索
ヒットなし
黒杉秀人 農業高校 検索
ヒットなし
黒杉秀人 事件 検索
ヒットだ。
ヒットした。ネット記事を見るとあの写真の男が映っていた。
どうやら暴行事件を起こして今は千葉の刑務所に居るらしい。
夏休みになり、僕らは会いに行く事にした。
時間は15分と限られていた。
関田を先頭に僕らは会話を始めた。
貴方に質問があってきました。関田がそう言うと、「貴方たちは記者かなんかですか?」と優しい声で言う。
関田は「全然そういうのじゃなくて、貴方が昔勤めていらっしゃった○△農業高等学校のものなんです」と焦りながら説明をする。
「はぁ?」とため息を漏らし怪訝な顔でこっちを見ていた。
「今日は〇△農業高等学校の歴史についてお話を聞こうと思い、お伺いしました」
「覚えていらっしゃる範囲でいいのでご教示頂けたらありがたいです」
どうやら作戦は僕らが高校の新聞部で、高校の歴史について探し回っている学生らしい。
「なるほどわかりました」そう言うと元校長は語り出した。「私が学校の校長をしていた時の話と言えば、畑を増やしたことかな?あとはなんだっけ?」
そんな会話をしていると赤間が言う。「今、生徒の間でオカルトまぁ学校の七不思議が流行ってるんですけどなんか知ってますか?」
おいと関田が言うが「良いよ。わかる所まで教えるね?」と元校長は話してくれた。
最後に「人は過ちを1度は犯してしまうと思う、でもどんな過ちでも後悔や罪として残る。だから私のようにはなるなよ少年たち」と言って面会は終わりを告げた。
元校長は4つの学校の怪談を教えてくれた。その怪談話を帰りの電車の中で整理する。
1つ目
鶏舎に巣食う炎酉
1番西側にある鶏舎には昔から炎酉が居る。炎に酉と書いて(えんゆう)と読む。頭が鶏で体が和装の男性。手には斧を持っていて体が燃えている。また、元校長の話によると女子生徒が見たといいその日を境にみんなが言い出したことや放火か分からないが、火元不明の火事が起こり、1度お祓いをする事態まで発展したらしい。
2つ目
噴水の死体
鶏舎などがある反対方向には庭木などが植えてある場所がある。そこに噴水があるのだが、その下には死体が埋まっているらしい。この話は元校長が、オカルト好きな生徒から聞いたらしい。噴水は水も出ず、ボロボロなのに撤去したり、修復したりしないのは下に埋まっている死体がバレるからだとか。確かに今も噴水は治っていなく。周りに生えているアジサイやウツギ、ハナミズキ、バラなどが廃墟に生える草木を連想させるため噴水は好評ではない。
3つ目
4月4日4時44分に校庭でシャボン玉を飛ばすと異世界に行ける。
校庭は僕ら1年の教室の窓からでも見える。4はオカルトっぽいからという理由で並べたのだろうと推測できる。元校長の友達がこの農業高校出身だったらしく、その人から聞いたらしい。シャボン玉を飛ばしてシャボン玉越しに世界を見る。よく見ているとシャボン玉の中の世界と入れ替わってしまうそうだ。
4つ目
パソコン室にあるコピー機に自分の顔が印刷されると2日後死ぬ。
この話ができたのはちょうど元校長が居た時だった。だが、話だけで何も起きていないそうだ。今もパソコン室は使われているが、印刷は使われていない。というより、使えない。前にパソコン室で印刷をしようとしたら南棟にある職員室の横の印刷室まで行かされた。パソコン室とは真反対の場所なのでイラついた。
この4つにプラスできる話があった。
5つ目
プールの男の子
これは前に赤間と雨宮そして副担が体験した話だ。赤間が「これも立派な七不思議じゃん」と言ったのがきっかけで七不思議になった。水を吸いマシュマロのような見た目の霊はどざえもんそのものである。見たらきっと眠れなくなるだろう。
まぁ七不思議中の5つは見つかった。
残るは2つだ。僕らはまた、学校の七不思議を探すことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます