第20話 七不思議のない学校 未

プール事件から2日後、僕らはいつも通り学校に行った。


今日はいい事もあったが面倒なこともあった。


放課後、僕らで話しているとふと副担任が来た。


「お前ら、七不思議知りたいんだって?」そう言う先生の首にはお守りがぶら下がっていた。


赤間が「急にどうしたんすか」と聞くと副担は「いや、お前ら好きって言ってたから」と笑って言った。


音楽室


今から4年前は音楽室が理科室の所にあったんだ。


そこのピアノを弾いていた先生が手に怪我を負った。


そしてピアノが弾けなくなってしまった。ちょうど半年後にその先生は自宅で首を吊った。


それからピアノの音がおかしくなった。突然音が消えたりしたんだ。そこで前にいた校長が音楽室をなくした。


まぁ音楽の授業は元々なかったし、軽音部もあまり活動していなかったからと言うのが理由だった。


でも先生は見ちゃったんだ。ちょうどこの時期だった。


前の教頭と仲良くてな、いつも世間話をしていた。その日も世間話をしていると急にピアノの音が聞こえた。無造作に引く音だ。


2人で見に行こうとなった。先生たちは見て驚いた、生徒がこの噂を知ってドッキリをしようとラジカセから音楽を流したらしい。


生徒いわく友達から聞いてビビりの友達にしようとしたとの事。


教頭は当たり前だが説教をした。私はその子を学校で見た事がなく少し不安だった。


説教の最後に名前とクラスを聞く。名前は覚えてないが、確か与田先生にその子のことを聞いたから2年4組だと思うんだ。


教頭が「君のクラスの〇〇君がピアノの話を知っていて友達を驚かせようとラジカセで鳴らしていたので。担任の貴方からも言ってくださいねお願いしますね」と言ったが、与田先生は口を開けて頭にクエスチョンを浮かべている。


「〇〇君なんて子うちのクラスには居ないんですけど」


最初騙されたと思った。教頭の堪忍袋の緒が切れたらしくその子を探すことにした。


2週間しても見つからなかった。校長に説明するとみるみる顔が青くなる。


「大丈夫ですか?」先生が校長先生に聞くと体調が悪そうに言った「もしかして〇〇〇〇〇君じゃないか」教頭が頷く。


棚から卒業アルバムを出して先生達に見せながら言う。「この子だろ」


「そうです」そうだ。この子だ。それにしてもなんで卒業アルバム?先生が聞くと教えてくれた。この子はピアノの事件で自殺した先生の事が好きだった生徒だ。私も相談に乗っていた。先生と生徒の関係はどうだとかこうだとか。私は反対した。そしてあの事件の時〇〇君は駅のホームに飛び込んだ。


死人と話した先生たちは本当に怖かった。その後、教頭は精神的に病んでしまったらしく今は精神病院に居るらしい。


だからまた、あの子にあった時は死ぬと思っている。でも雨宮が御守りをくれたから今は大丈夫な気がするんだ。


学校の七不思議は先生たちが消したいような話をあえて深堀し、子供が好きそうなオカルトという部類にする。そしてその事件を忘れないようにする目的もあるんじゃないかと思う。


前の校長はそういう話や事件を消した。先生が自殺した時も生徒が自殺した時も。事故や転勤などで片付けていたらしい。


今の校長は無いと思うがあまり首を突っ込まない方がいい。足を踏み外したら、進学どころか死ぬかもしれないからな。


そう副担はいい、もう帰れと言った。


帰り道に七不思議を知るには前の校長に会わなきゃなとみんなで話した。


この高校の隠された事件がわかった時、赤間の思い描いた学校生活が始まるんだろうと僕は思った。

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