episode1-1-1 夢に夢見る少女

 これは現実ではなくただの夢である。これから始まる冒険は、全て冒険者に憧れる一人の少女が見ている夢に過ぎない。すべては曖昧で、起きることは全て少女の都合に合わされてしまう。だが、それでも夢を見ている少女には紛れも無い現実である。


 未探索のダンジョンの最奥。そこは誰も足を踏み入れたことも無い、誰も見たことも聞いたこともない、未知の深奥『アンノウン』に少女は足を踏み入れるところだった。魔光の怪しげな光が照らし出す広大な空間には、超古代文明の遺跡に残る様々な未知が眠り続けていた。


 少女はまさにダンジョンの攻略中である。凶悪なモンスターが徘徊するダンジョンの内部には、侵入者を拒む即死トラップの数々を躱して辿り着いた先で少女が目にしているのは、超古代文明の秘宝が眠る宝物庫への扉だ。

 巨大な扉が少女の行く手を塞いでいる。石なのか鋼鉄なのか解らない扉を少女は見上げた。神話に登場する地獄へ続く扉を思わせる。少女はそんな扉を前にして、込み上げてくる好奇心から不敵な笑みを浮かべた。共助には未知に対する恐怖心など無い。


 少女は抑えきれない冒険心に突き動かされるまま、細い腕を伸ばして巨大な石の扉を押し始めた。巨大な岩山を切り出したかのような扉で、巨人が二人がかりで押し開く様な扉だ。どう考えても動くはずがない。魔法か鍵か、それとも仕掛けを解くのか、いずれにしても押して開くような扉ではない。

 だが、扉は嘘のように開き始めた。幼い少女が巨大な扉を開く光景はとても現実のものとは思えない。それも当然だ。これは夢なのだから。

 ゴゴゴとまるで、ダンジョン全体が動いているかのような音を発して巨大な扉がハの字に押し開かれていく。少女の腕で開かれる古代の巨大な扉からは、砂糖菓子で出来ているかのように重さが感じられない。開かれた扉の隙間から、何千年間も押し留められていた古代の空気が漏れ出し、黄金の燦然とした輝きが少女の足元を照らした。太古の文明が築いた莫大な財産だ。床に山積する黄金と宝石の中に、豪華絢爛たる装飾品や伝説級の武具が埋もれている。まさに神々の宝箱を開けたような光景だ。


 普通なら体全体で喜びを表現してもよさそうな場面だ。しかし、財宝の眩い輝きを受ける少女の表情に変化はない。

 この輝きを浴びることは、冒険者にとって最高の瞬間だ。冒険とダンジョンには、その危険な場所に見合った財宝が不可欠だ。命を失うかもしれない危険を冒した成果でもある。今まさに、それが少女の目前に姿を現した。成功報酬が多きれば大きいほど冒険者冥利につきる瞬間のはずだ。普通ならば体全体で喜びを表現するような場面である。


 しかし、財宝の眩い輝きを浴びながらも少女の表情は動く気配がない。宝物庫の中に入りながらも、少女は冷戦沈着だ。目の前に現れた餌を見て、警戒を緩めて油断するのは三流の冒険者がすることだ。とはいえ、床に散らばる財宝の数々を見る彼女の青い瞳は、財宝そのものに興味がないかのように無味乾燥としている。まるで、望んでいる展開ではないことに失望している気配すら薄く感じられる。足元に散らばる数々の財宝に目もくれずに、少女は宝物庫の中を注意深く進んで行く。


 手を伸ばせば財宝の山に届く距離で、少女は立ち止まると口元に薄く笑みを浮かべた。それは財宝を手に入れた喜びではないのは明らかだ。歓喜からではなく薄く笑みを浮かべている少女の姿は、あまりにも好戦的だ。碧眼の青さが深まっている。まるで見る物を飲み込んでしまうかのような恐ろしささえある。


 少女の青い瞳の奥底で激しく脈打つそれが見て取れるところから、明らかに何かを期待しているのが見て取れる。少女は何を期待しているのか。それは目の前の財宝ではない。

 ダンジョンの攻略には欠かすことのできないダンジョンの秘宝や財宝。しかし、少女がダンジョンに求めているのはそんな物ではない。


 突然、それは頭上から降ってきた。少女は足元に出現した巨大な影を見て、即座に後ろへ飛び退いた。見て動いたというよりは、予測していたかのような動きだ。次の瞬間、黄金と宝石が積み上げられた財宝の上に爆弾が落とされたかのような衝撃と共にダンジョン全体が振動した。宙を舞う黄金と宝石の財宝の中、少女の前に巨大なモンスターが現れた。


 ドラゴンだ。ダンジョンボスが現れた。神話と呼ばれる古き時代からこの世界に存在し、食物連鎖の頂点に君臨し続け、この世のありとあらゆる生物が畏怖し恐怖する化物、それがドラゴンである。


 ダンジョンに不可欠な物、それは財宝と財宝を守る番人、ダンジョンボスの存在だ。最大難関のダンジョンボスを倒すことこそ、ダンジョン攻略の醍醐味といえるかもしれない。普通の感覚を持つ冒険者なら、回避できるのなら回避したい存在だが、少なくとも少女はそれを待ち望んでいたのだろう。目前に出現した巨大にして凶悪なモンスターを見て、少女は嬉々とした表情を浮かべてた。


 財宝の番人としてドラゴンは侵入者に吼えた。黄金の財宝を踏みしめて、まるで自分の物だと言わんばかりの轟声だ。ドラゴンの咆哮はその声だけで人間の少女など切り刻んでしまいそうだ。空気が震撼し周囲の壁と床に亀裂が走る。想像を絶する超常的な猛威が少女の前で猛り狂っていた。噴火直前の山が目の前にしているかのようだ。鋼よりも強靭な巨体は、その全身が熱した鉄のような鱗で覆われている。獰猛な双眸に鋭利な爪と牙からは、見る者に恐慌とした絶望を抱かせ戦意を失うだろう。なによりもあの敵意に煮えたぎり殺意で研いだような鋭い双眸に睨まれれば、人間など意識だけでなく命でさえも奪われてしまいそうだ。


 冒険小説が好きな子供が望む理想通りの展開で期待通りの姿で現れたドラゴンを見て、少女は小さく笑った。少女に怯えも恐れもない。狂ったわけでもない。少女は体全体であふれ出すほどの喜びで体を震わせていた。


 怯えるどころかたじろぎもせずに不敵な笑みを浮かべる少女に、ドラゴンは機嫌を損ねたように再び咆哮を浴びせかけた。無数の剣が突き刺してくるような咆哮が、少女のか細い肉体を襲う。ダンジョンボスであるドラゴンと、その侵入者である少女との間には歴然たるレベル格差、いや種族として歴然たる能力の格差が存在している。そもそもドラゴンとは、食物連鎖の掟を制定した神が全ての生物の最上位に君臨させた生物だ。たかが人間の、それもただの少女がドラゴンに挑むのは狂気以外のなにものでもない。いや、狂人ですらドラゴンに挑みはしない。


 それなのに少女は逃げる素振りも見せずに、足元に転がる剣を手に取る。自分の身長と同じ長さの剣だ。それを木の棒でも持つかのように持ち上げると、刃先をドラゴンへ向けて構えた。その漲る闘志が躍動する瞳に見つめられて、ドラゴンはあらゆる生物の王としての尊厳を傷つけられたかのように苛立った。略奪者を威嚇するドラゴンの刺すような禍々しい殺気で大気が歪み始める。


 少女は口元に笑みを浮かべた。財宝とそれを守るドラゴン、まさしく冒険小説定番の展開だ。これで胸が熱くならないわけがない。


 少女は剣など扱ったことはない。だが、見よう見まねでどうにでもなる。剣の柄を強く握りながら少女はドラゴンに負けないくらいの雄叫びを上げる。巨大な死の塊を視界に収めながらも恐れは微塵もない。少女が熱く滾らせている闘争心に引き寄せられるように、ドラゴンは低く唸りながら頭を低く倒して前傾姿勢で身構えた。


 ダンジョン探索の醍醐味、ダンジョンボスとの壮絶なバトルが今始まろうとしている。

 その瞬間だ。


「ジニー!」


 足元から怒声が突き上げて来た。


「起きなさい、ジニー!」


 ダンジョン全体を揺るがすほどの大音声が響き渡る。立っているのも困難な振動によってダンジョンは崩壊し始めた。


「ジニー、いつまで寝ているんだい!」


 その声は少女にとってとても聞き覚えのある声で、なおかつドラゴンにすら驚きも怯えもしなかった少女を驚かせて慌てふためかせる声だった。


「ジニー、聞こえていないのかい!」

「お、おばあちゃん!?」


今にも崩れ落ちそうなダンジョンの瓦礫を避けながら、少女は真上を見上げた。対峙するドラゴンから目を離すことは自殺行為と変わらないことなのだが、少女にとっては目の前のドラゴンよりも頭上から鳴り響く怒声のほうが脅威だった。


「聞こえないのかい、ジニー!」


 その怒声はドラゴンよりの咆哮よりも強力だった。まるで紙粘土の如く少女の夢世界がボロボロと崩れ始めた。ドラゴンはすでに形が判別しにくいほど壊れかけている。全体に大きな亀裂が入り崩落するダンジョンだって時間の問題だ。

 状況を理解した少女は、苛立った様子で周囲を見渡しながら声を張り上げた。


「ちょっと待って! 今いい所なの、あとちょっとだけ待って。お願いだから!」

「あとちょっと待てだって? 何を寝ぼけたことを言っているんだい!」

「五分、いや十分、もうちょっと欲しい。十五分だけ待って!」

「十五分待てだって? 何を寝ぼけたことを言ってるんだい、この馬鹿娘!」


 祖母コーデリアの雷鳴りのような怒鳴り声が下から轟いてきた。ダンッ、ダンッ、ダンッ、誰かが怒りを踏み締めながら階段を昇ってくる。下から迫り上がってくる怒りの足音に、夢の世界の崩壊が加速する。気が付けば、目の前にいたはずのドラゴンの巨体が跡形もなく消えていた。

 無駄な抵抗ということを知らないのか、少女は必死に夢の世界の崩落を止めようと試みる。。


「お、おね、お願いだから! あ、あと、あと五分だけでいいから! 夢の中で夢だって気付くのなんて滅多にないんだから。夢の中なら何にだってなれるし、何だってできるじゃん」


 立っていることもできない激しい揺れの中で、少女は必死に声を張り上げて懇願する。そんな少女の切なる願いは、相手の怒りに油を注ぐ結果に終わった。


「あと五分! あと五分、私が朝に一番聞きたくない大嫌いな台詞だ! いいかい、ジニー! 私が部屋に入ってもまだ寝ているようなら、覚悟しておくんだよ。いっておくけど容赦しないからね!」


 行動と言動には結果が伴う。冒険者にとって大切な第一の教訓である。この場合の少女の言動の結果は、無惨な失敗に終わった。


「たまにはいいでしょ。一度くらい、私のお願いを聞いてくれたっていいじゃない。今、本当に良いところなの。最後までこの夢を見させてよ。昔はいろんなところを冒険者として冒険していたんでしょ。元冒険者なら、私のこの気持ちくらい解かってくれるでしょ」


 ほとんど原形を留めていないほど崩壊したダンジョンの中で、諦めの悪い少女は必死にその世界にしがみ付いていた。


「夢になんか興味はないね。夢で得られることなんて何もない。大事なのは現実だよ。あと、何か勘違いしているようだけど、私は冒険者として冒険をしていたわけじゃないよ。私がしていたのはね、アンタみたいな駄目で愚図でノロマな冒険者のケツを叩くか、それで駄目なら蹴っ飛ばすかだ。昔も今もね!」


 階段を昇る足音が近付くにつれて、怒声も近づいてくるのが解かる。今まさに階段を昇り終って部屋の扉の前にいるのを少女は感じ取った。


「お祖母ちゃん、一生のお願いだからあとちょっとだけ寝かして!」

「アンタの一生のお願いとやらは、私が死ぬまでにあと何回あるんだい!」


 家中に響き渡る怒鳴り声をあげながら扉のドアノブに手を伸ばすのは、コーデリア・ウィルナイツ。偉大なる冒険家ウィリアム・ウィルナイツの妻にして、偉大なる冒険家ジーニアス・ウィルナイツの祖母である。

 コーデリアは怒りを込めて孫娘の寝室への扉を開いた。


「ジニー、無駄な抵抗は止めてさっさと起きな!」


 一日中ぶっ通しで説教しても余るほどの怒り心頭のコーデリアだが、開かれた扉の先で目にしたあまりの光景に呆れかえってしまい、怒鳴り声の一つも上げることができなかった。コーデリアの視線の先では、窓際のベッドの上で、孫娘が必死に起きるのを抵抗してもがき苦しんでいる姿があった。夢の世界に見っとも無いほどマヌケな寝相でしがみ付く孫娘の姿にコーデリアは辟易とした溜息をもらす。


「あとほんのちょっとだから、このドラゴンを倒したらすぐに起きて支度するから」

「冒険者を志す者が夢の世界にしがみ付くとか、なんて情けない孫なんだ。こんなんで本当に私の孫なのかね」


 まだ夢の世界にいる孫娘の寝言に、祖母として情けなくなったのか嘆息一つ漏らす。意地でも起きようとしない孫娘を起こす為に部屋へ入ろうとするが、その前にコーデリアはその部屋の中を見回した。


「まぁ、これは私の血じゃないね」


 カーテンが閉められ薄暗い部屋の中は混沌をテーマにしたように有様だった。おいそれと部屋の中に足を踏み入れることに躊躇いが生まれる。何故なら、足の踏み場がないからだ。床は様々なアイテムで埋め尽くされていた。謎の文字で書かれた古書、謎の液体の入ったビン類、何に使うのかも解からない謎の器具類、用途も解からない様々にヘンテコな形をした謎の古代文明時代のアイテム類、コーデリアの目にはどれもガラクタに類するアイテムばかりだ。年頃の娘がそんなアイテムに埋もれた部屋の中で過ごしていると思うと、祖母としては頭を抱えたくなるような悩みで頭痛を覚える。

 再び溜息を一つ漏らすと、コーデリアはカオス渦巻く部屋の中へと勇んで足を踏み入れた。気分は冒険者になったような面持ちだ。コーデリアにとってこの部屋はまさにアンノウンな領域と変わらない。


「ウィル、本当にこの子は良い所も悪い所も全部アンタそっくりだよ」


 込み上げてくる数々の愚痴を漏らしながら、カオスな状態の床上を祖母は慣れた足さばきで進むと、あっという間に目的地へ到達する。


「すごい財宝だよ。お祖母ちゃんに見せられないのが残念だよ。ドラゴンだって凄いんだよ。お爺ちゃんが話していたようなとんでもないモンスターだ。これを倒すのは、さすがにちょっと骨が折れるかも」


 コーデリアの財宝を見下ろす。恍惚と間の抜けた表情を浮かべる孫を見下ろす。時間にルーズで朝寝坊を繰り返す冒険者に悩まされるのは、コーデリアにとって慣れ親しんだ朝の日課だ。だがその日常も今日で終わると思うと、心の中に僅かばかりの寂しさが込み上げてくる。だが、そんな感傷も孫娘の寝姿を見ているうちにふつふつと込み上げてくる怒りによって吹き飛ばされてしまった。

 酷く滑稽なほどに見苦しい寝姿だ。起きることを拒んで必死に瞼を固く閉ざしている。せっかくの母親譲りの凛と美しい顔立ちが見る影もない。どんな夢を見ているのか、寝姿を見ているだけでも想像が容易い。毛布も枕も床に落ちており、ぐちゃぐちゃのシーツと同様に祖母と母親譲りの美しい金髪が、爆発トラップを踏んでしまった後のようにめちゃくちゃだ。


「まったく毎度毎度飽きもせずに、アンタらは本当に手を焼かせてくれる」

「今まさに、伝説の冒険者ジーニアス・ウィルナイツの冒険譚に、ダンジョン奥の財宝を守りしドラゴンとの戦いが記されようとしているの」


 寝ているとは思えない流暢な寝言に、祖母は頭痛で頭を押さえそうになる両腕を伸ばして孫娘が寝そべるベッドのシーツを掴む。


「いい加減に諦めて起きなさい。ジニー!」


 そして、怒りに任せてシーツを孫娘ごと引っ張り上げた。

 意地で意識を夢の世界に居座り続けさせている少女の華奢な体は、祖母の怒りに任せた渾身の馬鹿力によって宙を舞う。肉体が中空の無重力空間を漂う中、少女の意識も崩壊する夢の世界の中で空中に浮きあがっていた。

 天と地の境界線が無い無重力の夢の世界で、少女は自分の身に何が起きたのか理解できなかった。

 宙を舞った少女の肉体は重力に逆らうことなく落下し、床上をボールのように勢いよく転がる。床に散乱するアイテム類を巻き込みながら転がる少女の肉体を、乱雑に本や雑貨類が収納された棚が受け止めてくれた。小さな悲鳴を上げる少女が寝ぼけ眼を見開いて最初に見た世界は、自分の雑多なコレクション達が頭上から降り注ぐ光景だった。

 少女の悲鳴は、彼女が雑に収納したアイテム類の底に埋め尽くされてしまった。


「いつまで寝っころがってるんだい、さっさと起き上がりな! もうとっくに太陽は昇ってしまっているよ。時間は待ってちゃくれないよ。過ぎ去りし時は、あらゆる財宝よりも貴重な物だっていっているだろ」


 雑多なアイテム類の下敷きになっている孫娘に向って吐き捨てるように言うと、コーデリアは怒りを踏みつけているような荒々しい足取りで部屋を出て行った。階段を下りる足音で機嫌の悪さの度合いがよく理解できる。


 部屋にまで響くコーデリアの足音を聞きながら、少女はようやく自分のコレクションの山から這い上がる。窓からは澄んだ青い空と燦然と輝く太陽が見えた。


「……」


 立ちあがった少女は欠伸をしながら、窓から見える晴れ渡る空を黙って眺めていた。窓から見える外の明るさから、すでに朝というにはあまりにも遅い時間なのは解かる。太陽の位置を見るに、もうすぐ昼と呼べる時間帯だ。

 ちなみに、今日は少女の旅立ちの日だ。親交のある交易商人の馬車で山向こうの街へと向かう予定である。待ち合わせ相手は、祖母以上に時間厳守で、祖母と同じくら口煩い。起き抜けの寝ぼけ頭でそれを考えながら、時間を計算してみる。待ち合わせ時間は昼前だ。空の浮かぶ太陽の位置から見ても、少女にとってはまだ朝と呼べる時間かもしれない。しかし、人によっては昼前といえる時間かもしれない。少なくとも、待ち合わせ相手はそう考えるだろう。ここから待ち合わせ場所まではそれなりの距離がある。 

 そこから導き出される答えは。


「ち、遅刻だー!」


 さて、この少女の自己紹介をしよう。少女の名前はジーニアス・ウィルナイツ。この名前を知らない者はいないだろう。この少女は後に数々の功績をあげ、数多の冒険者の中で唯一『エクスプローラー(探索者)』の称号を与えられた偉大な冒険者となる。しかし、この時の彼女はまだ冒険家に憧れる普通の少女であった。

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